はた織

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 夕方の赤みがかった青空に浮かぶ雲を眺めた。羽先のような白い雲が空を覆っている。雲の端を子どもの柔らかな手で悪戯に引っ張られたような形をしていた。
 良い雲だと眺めていると、その白い筋から段々と青い血管が浮かんできた。空も生きている、どくりと私はときめいた。雲の隙間から空の静脈の鼓動が震える。
 空の血管の中に入っていきたいと、私の中の鳥籠にいる小鳥が羽ばたく。なら飛んでいけと群青の血潮が溢れる空に放った。
                   (250719 飛べ)

7/19/2025, 12:43:33 PM