『感熱』
あの子の目からこぼれ落ちる涙は燃えていた
朝、いつも通りに教室に着くと隣のあの子が泣いていた
ふっーふっーと興奮する気持ちを抑えるみたいに、必死に必死に堪える目の縁からぽとんと涙がこぼれ落ちる
また先生に怒られちゃったんだってね
後ろを振り返り、1つ前の席の子が言う
でもその子ができないのが悪いよね
あの子を蔑んだ目で見ながら、1つ後ろの席の子が言う
でもその子なりに頑張ってるんだよ?
あの子を庇うように、1つ右隣の席の子が言う
僕は何も言わず、ただただ困惑しあの子を見つめる
あの子は鼻をずびっとすすりながら
泣いてないもん
と強がった
赤く腫れた目が、こちらをキッとキツく睨んだ
潤んだ瞳で、赤く腫れた情熱の目で
瞬間
ぶわわと僕の目から涙が溢れる
溢れた涙は
熱くなった頬を伝って冷ややかな地面に跳ね返る
あぁ、あの子の情熱に噛みつかれてしまった。
喉元を刺されたように冷ややかな熱さが全身を覆う
熱い熱い熱い
熱い熱い熱い熱い
熱い熱い熱い熱い熱い
熱い熱い熱い熱い熱い熱い
熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い
あつい。
お題『静かな情熱』
※感熱=熱によって化学反応を起こして変色する性質
お久しぶりです!織川です。
あぁ…もう来年は受験生ですよ…早いですね時が経つのって…織川美大受験するんですけど、もうマジ絵下手すぎて笑えないです。その分他の人よりも頑張って時間かけてはいますけど…まぁ明日もまた頑張って書いてきますよ。今回の石膏デッサン、ゲタなんですけどあいつ…!顎の形が一生直らん…!!!体書くのは好きなので体の方はまだマシなんですけどなにせ顔が苦手なもんですから…首像よりはいいんですけどね…いやでも服かくの楽しいです!でもまだ2時間書き出しで下書きの状態なんですけどもう…!全然直らん…!今週土曜は部活ないので土曜書こうか迷います…明日4時間やる予定なので順調に進んで気がのったら土曜も行ってきます。土曜で一旦完成させてまた月曜から崩してまた完成させようかな〜って思いますね。とにかく納得するまで描き続けます。せめて粘り強さでは負けたくないです。
君と一緒の道を歩く
君と一緒の空を見る
君と一緒の季を巡る
君と一緒の地へ潜る
君と一緒に地獄に落ちる
『少年Bのハンコウ』
少年Bは、人を殺した。
それはそれは激しい雨が降る夜に。
少年Bに滴るのは、ただただ興奮して火照った体を強制的に冷却する雨だけである。
涙など流れてこない。あったとしてもそれは涙ではなく、人を殺したことによる焦燥感ゆえの汗であろう。
少年Bは、前々からこの人物を殺すつもりであった。
一時の昂った感情などのものでなく。
計画的な犯行、反抗、反攻であったのだ。
だがこの少年Bは人を殺したことを悪い事だとは思っていない。いや、正確に言うとするならば「この人物を」殺したことについて悪い事だとは思っていない。だろうか。
多分、他の人を殺したであれば大罪を犯してしまったとさぞ恐怖で震えるだろう。
しかし、少年Bが殺したのは他でもない少年Aである。
いつも、いつも、いつも先にいる、少年Aである。
さぞ妬ましいだろう。
さぞおぞましいだろう。
さぞ愛らしいだろう。
どう自分をアピールしたところで結局皆少年Aの方へと流れてゆくのだ。
そこで少年Bは考えた。
「自分が少年Aを殺せば、皆自分に注目してくれるのではないか」
あぁ、なんと賢い。賢く醜く愚かな考えだ。
しかし、僕は止めはしない。
少年Bの傘になることなど到底僕にはできぬのだ。
いいや、先の言葉は撤回しよう。
僕は少年Bの傘になどなりたくないのだ。
きっと少年Bの傘になると、激しい雨で破れてしまう。
他人のために犠牲になるなんざ僕はまっぴらごめんである。
気づけば雨はしとしと、と柔らかくなっている。
少年Bの手元にある包丁は大雨で血の色が失せていた。
少年Bは、ただただ空をぼんやりとした眼で見つめている
魂でも抜けたような表情である。
顔に降り注ぐ柔らかな雨は、きっと少年Bを赦してくれる唯一の友なのであろう。
あぁ、可哀想だ。少年Cの僕よりも哀れだ。
上ばかり見すぎたせいで下が見えなくなってしまったのだ。
人殺しよりも人を見下す方が軽い罪であるというのに。
見下せばよいのに。
貶してしまえばよいのに。
愚か、疎か、おろかである。
さて、そろそろ僕はこの話を締めるとしよう。
少年Cとしての役目を果たしたからな。
あぁ、そうそう最後にこの話の本当の題名を教えてあげるよ。
『少年Cの愚かなプライド』
お題『柔らかい雨』
少々お題から大それましたね…すみません…
『ヒペリカム』
先日、幼ななじみが亡くなったんです。
たった、15歳で亡くなったんです。
私、泣いたんです。
一日だけ。
他の友達も泣いたんです。
1週間も。
少し、疑問を抱いたんです。
私は幼なじみで深い仲なのに何故他の友達よりも私の方が泣いていないんだろうって。
私、薄情者なのでしょうか。
いやでもきっと、これは薄情ではないはずです。
それにあの子も望んでいないはずです。あの子に執着して引きずり続ける私を見たくはないと思うんです。
行かないでなんて言えません。
行かないでなんて自己中です。
だから、笑ってありがとうって言うんです。
ただただ、大粒の涙がこぼれないように、あの子のいる空を向きながら。
悲しみは、続きませんから。
一度悲しみは断ち切らないと。
だから、薄情者と言われても。
私はあなたを想って泣くことはもうしません。
幼なじみ、ですから。
ともだち、ですから。
貴方の知り合いでありますから。
来世ではまた顔見知りとして0.1から始めましょう。
※このお話は現在の人物とは関係ありません。
だって、もうあの子は他の子ですもの。
本音言えたのであればせめてまたねと言いたかった。
せめて話をしたかった。
せめて愛してると伝えたかった。
助けてあげたかった。
行かないでなんて言えるわけがない。
苦しそうなあの子の眼差しを見て、行かないでなんて。
そんな、残忍なこと。
あの子の幸福をただただ願いたい。
あの子の幸福をただ、ただ。
諸事情でお花も供えられないのでせめてこの話の題名としてあの子を追悼します。
ヒペリカム
悲しみは続かない。
続かせませんよ。私が生きているかぎり。
『春夏秋冬、行、帰、僕』
※長いですが是非読んで頂きたいです…!
9月下旬、夏の残り香が廊下を歩く度にふわりと漂う。
猛暑と見られた今年の夏はもう終わりを迎えているようだ。
放課後のこの時間、図書委員の僕はいつも図書室へと向かう。僕の学校の図書室は少し特殊で、本校舎の外に設置されている。なので外へ行く時、毎回外に出ている廊下を歩く。この廊下を歩いている時、最初は特に何も思いはしなかった。
だけれど、毎日その廊下の窓から見える景色を眺めていると季節の移ろい、青春の部活、そして窓に映る自分が見えるのだ。
廊下は短く、足の長い人が渡ればものの5秒で図書室に着くであろう距離。しかし、どうしても僕は1分掛けて渡りたい。春には桜が芽吹くところから、散るところまで。夏では夏休みの部活動に勤しむ生徒たちから、文化祭の後夜祭まで。しっかりと必ずこの廊下から見届けたいのだ。
植物であれば、自分がまるで親になったような気分で眺めることができる。一つの花が芽吹き、花開くまでの様は見ていて何か誇らしい気持ちになれる。だがその分、枯れてしまうといっそう悲しい。
感情の忙しい人だと思われるだろう。でも、人気のない廊下、あまりにもエモーショナルな風景、それにかさなる季節の風情となれば小さな生命ですら見逃せずにはいられない。植物の葉につたう虫にさえも情けをかけてしまうほどなのだ。
また、この学生時代でしか味わえない学校の校舎、放課後というのが更にエモい雰囲気を醸し出している。
上の階から聞こえる吹奏楽部の音色、グラウンドから聞こえる野球部のバットにボールが当たる音。廊下を談笑し渡る女子生徒…全て、学生時代にしか聞こえぬ声。
しかも時刻は夕時であるから、晴れの日には夕日がいい感じに当たって、もっともっと心躍らせる雰囲気になる。
今年は少々足早に来た秋には近くの木の紅葉が見れるだろうし、落ち葉で焼き芋を焼く生徒たちも見えるだろう。自分も混ざりたいな〜と思うことはないでも無いが、この図書委員。自分が混ざるよりも眺める方が実は好きだったりする。自ら本を読まずとも自動でページを捲ってくれるなんとも優しいこの世界は、少し視野を広げるだけで全てが物語になる。もちろんこの僕の思想も、文章にしたらきっと物語になるのだろう。
窓から見える景色はいつも色褪せることがない。見れば鮮やか、聞けば爽やか。触れればふと夢から覚める。
そう、パッと。
自分が干渉しない程度に真近で感じることのできる最大限の空気を肺に吸い込み、やっとのことで図書室に入る。自分がいつも座る椅子からは外の景色は見えない。しかし、先程の景色を脳内で咀嚼することはできる。
あぁ、本を読みたいのにと思いながら、また今日も景色に刺激され物語を綴ってしまう。
そして、気づいたら外も暗くなっている。
行きですらこんなに多くの感情を抱えてしまうのに、帰りまで渡ってしまったらもう僕はどうなるのだろう…などと他人にとってはつまらないことを思いながら、また今日も一歩踏み出す。
物語の、光の中へ。
お題『窓から見える景色』