織川ゑトウ

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『ヒペリカム』

先日、幼ななじみが亡くなったんです。

たった、15歳で亡くなったんです。

私、泣いたんです。

一日だけ。

他の友達も泣いたんです。

1週間も。

少し、疑問を抱いたんです。

私は幼なじみで深い仲なのに何故他の友達よりも私の方が泣いていないんだろうって。

私、薄情者なのでしょうか。

いやでもきっと、これは薄情ではないはずです。

それにあの子も望んでいないはずです。あの子に執着して引きずり続ける私を見たくはないと思うんです。

行かないでなんて言えません。
行かないでなんて自己中です。

だから、笑ってありがとうって言うんです。

ただただ、大粒の涙がこぼれないように、あの子のいる空を向きながら。

悲しみは、続きませんから。

一度悲しみは断ち切らないと。

だから、薄情者と言われても。

私はあなたを想って泣くことはもうしません。

幼なじみ、ですから。
ともだち、ですから。

貴方の知り合いでありますから。

来世ではまた顔見知りとして0.1から始めましょう。

※このお話は現在の人物とは関係ありません。

だって、もうあの子は他の子ですもの。



本音言えたのであればせめてまたねと言いたかった。
せめて話をしたかった。
せめて愛してると伝えたかった。
助けてあげたかった。
行かないでなんて言えるわけがない。
苦しそうなあの子の眼差しを見て、行かないでなんて。
そんな、残忍なこと。
あの子の幸福をただただ願いたい。
あの子の幸福をただ、ただ。

諸事情でお花も供えられないのでせめてこの話の題名としてあの子を追悼します。

ヒペリカム

悲しみは続かない。

続かせませんよ。私が生きているかぎり。





10/25/2024, 6:02:46 PM