Ꮇako59

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1/15/2025, 10:02:00 AM

『あなたのもとへ』

案外、海水って冷たくないなって思った。荷物もスニーカーも砂浜に並べて少しずつ深いところへ歩いていく。

綺麗なとこじゃないから、濁ってて、そこらじゅう海藻が浮いてて気持ち悪い。でも、どうだっていいか。

水を吸ったズボンが重たい。足を引きずるように奥へ、奥へ。胸元まで入った時、小雨が降りはじめた。

黒い、どんよりとした雲。それは私の心のように思えた。分厚くて光が届かない場所にいる。

首まで浸かって、私は手を空へ伸ばした。迎えにきてほしいの、あと少しの勇気が出ないから。

『あなたのもとへ』連れて行って…。

口元まで入って、泣いてみても、足は滑りそうもないし、先に進めない。怖い。怖い。

その時、きらきらと光る魚がスっと泳いでいった。



ああ、帰らなくちゃ。そうだ、私にはまだ。

あの子に教えていない事があったから。

小さな手を離すには、早すぎる。

『あなたのもとへ』はまだ行かない。

やり残した事を、こなしてからで。

1/14/2025, 11:15:48 PM

『そっと』

ごめんね。

今日のお母さんは、ダメなお母さん。

どうして落ち着いて聞いてあげられなかったんだろう。

忙しかったけれど、5分、10分手を止めても良かったのに。

この子なりの表現を、なぜ一旦受け入れなかったんだろう。

選択肢をいくつか準備してあげたら、結果は変わったのに。

ぐちゃぐちゃになった部屋を片付けながら、反省してた。

ごめんね。

今夜のお母さんは、泣き虫お母さん。

寝ていると小さく見える、我が子の横に潜り込んで。

そっと、そっと、抱きしめる。

ごめんね。

きっと…、きっと明日は、優しいお母さん。

1/11/2025, 2:49:05 PM

『あたたかいね』

お風呂嫌いの娘を、お風呂に誘う方法はただ一つ。

たくさんのおもちゃを持ち込む許可を出すことで。

ガチャガチャのカプセルやら、水風船やら…

明日になったら、またザルにいれてベランダ干し。

飽きるほど遊んでいるのに、また水を入れては

ジュース屋さんやら、ポケモンごっこをしている。

『ママもしようよ!』なんて言われたら、もう

『早く上がりたい…』と、心の中でため息連発。

せまい湯船に二人、邪魔なおもちゃを掻き分けながら。

唯一良いと思うことは、お風呂の後布団の中で。

『あたたかいね』と温もった私の太ももに

娘の可愛い小さな足が入ってくること。

モゾモゾ、こちょばいけど、ふふ、幸せね。

1/10/2025, 3:15:40 PM

『未来への鍵』

神様みたいな人かな、そういう人が私の前に立って

鍵を2つ渡されたとして。

1つ目は『子どもを一生産めない未来への鍵』

2つ目は『発達障害の子を育てる未来への鍵』

私はドアの前に立って考えている。

ずっと子育てをしたいって思ってた。小さい頃からお母さんになりたいって思って、意味もなく育児本を読んだりしていた。

憧れていたお母さんは、優しくて穏やかで、叱るけれど、怒鳴らずに諭す、笑顔いっぱいの人。家はいつも綺麗なんだ。

自分の母のようにはならないようにと、いつも考えていた。舌打ちする母は苦手だった。

私はきっと2つ目の鍵で、ドアを開けるだろうな。

『発達障害』なんてよく分からないまま『大丈夫、何とかなる、私なら大丈夫』そんな言葉を呟いて。

綺麗事は言えないし、言わない。

今なら迷わず1つ目の鍵を選ぶ。悲しいけれど、それが今の私の気持ち、誰にも言えない本当の思い。

いつかこの子を育てて良かったと思える日まで。

いつか…、きっと、いつか。

1/9/2025, 10:51:16 PM

『星のかけら』

星のかけらとは、関係ないけど。

『星の砂』の小瓶は私の宝物だった。

カラフルな砂の中に小さな星が入ってた。

そこに埋まったり出てきたりしてる、ヤシの木。

お土産で貰うと嬉しくて、机に並べて飾った。

オレンジの砂も綺麗だけど、やっぱり青が好きかな。

海みたいで素敵だから。

今の若い子は知らないだろうな〜なんて思ってたら

この前サービスエリアでこっそりと売られていた。

懐かしくて、ついつい手にとった。買わないけど。

やっぱり青が良いね、海みたいでヤシの木に合う。

『ママ!それ買うの!可愛い、星が入ってる!』

ふふふ…これはね、落ちてきた星が入ってるんだよ!

なんてちょっと冗談を言ってみたり(笑)

……!そういえば、この冗談は…!

お土産をくれた叔父が言った言葉だ!!

しばらく騙されていたんだった!!(笑)

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