夏野

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5/28/2024, 2:33:22 AM

天国と地獄

獲物がいれば銃を構える。
狙いを定めて、自分の心臓の音しか聞こえないくらい集中して、撃つ。
当たればよし。当たらなければ、自分が死ぬ。
それが自然の中の出来事で、狩人の生活。

狩人だけでは生活出来ないので、自分で店を持ってる人が多い。俺もそうで、喫茶店を経営してる。
寒い日に暖かくて美味しいコーヒーをひとりで飲んでる時、ここは天国だと思う。

「こんちわ、旦那。売上はどうです?」
「よう、クソガキ。見りゃわかること聞くな」
「程々ってとこすかね。あ、コーヒーひとつ」

閑散とした店内に入ってきたチャラそうな男。
いつも通りにカウンターに座った。
同じく狩人で、腕はそこそこ。

「旦那のコーヒーは美味いッスね…生き返る…」
「それは良かった」
「旦那あての仕事、預かってきたんです。ほんとこの世の中、腐ってません?」
「いつ?」
「明日ですよ。全く、こっちの準備時間は考慮されてないのも腹立つ」

チャラい男が持ってきた封筒を出した。受け取り中身を確認する。

「明日、店頼んでもいいか?」
「はいはーい。頼まれます」

封筒の中は、なんの変哲もない依頼書と写真が1枚。
殺人依頼書。本当になんだって、こんな物騒なものがこの世の中にあるのだろうか。

狩人は獣を狩る。
依頼書が届く度に人間も獣のひとつなんだろう、と思う。

街中で隠れてターゲットを待つ。
現れたターゲットに狙いを定めて、心をむにする。
当たればよし、外せば自分が死ぬ。

音もしないまま銃弾がターゲットを貫通して、ターゲットが倒れてどこかから悲鳴が上がる。
その悲鳴を聞く度に、この世界は本当は地獄だな、と思う。


5/26/2024, 5:53:43 PM

月に願いを


月が綺麗だから悲しくなる
普段月を気にしたりしないのにね

自分勝手な願いがあるときだけは
目を閉じて願いを唱える

神様なんて信じてないのに
都合が良い時は勝手に手を合わせる

なにもかも自分勝手だなと、そんな思う

5/24/2024, 10:20:32 AM

あの頃の私へ

過去の私も、今の私も、あまり変わってません。
楽観的な性格も、後回しにしがちなところも。

何とかなるよ。

5/23/2024, 9:15:37 AM

また明日

わたしの毎日は草花を愛でること。
草花にあいさつをして、水をやり、時々やってくる人間に売る。人間と関わるとろくなことは無い。
だからこそ、人里離れた場所に店を構えているのに、最近は毎日のように大柄な男がやってきては居座る。
営業妨害だ、と思う。

「おい魔女、今日こそ薬をくれ」
「わたしは魔女ではありませんし、ここは薬屋ではなく花屋なので薬はありません。薬は町の薬屋さんへどうぞ」
「俺が欲しいのは魔女の薬だ。町では売っていない」
「そうですか。では、ほかの店をあたって下さい」

そして二度と来るな。わたしの気持ちは男にはまったく通じなかった。
しばらく店内を見回していた。ぽつぽつと質問されて、答えて、違う話をして。

ようやく日が落ちた頃、男が動いた。

「……また明日来る」
「……そうですか」

いや来るなよ。
また明日、だなんて、言われても、困る。
困るんだよなぁー……。
また明日なんて言いながら、明日誰も来なかったら、少し寂しいじゃないか。

少し変わってきた気持ちが変でなんだかくすぐったい。

「さてみんな、おやすみ」

わたしの一日の終わりは草花への挨拶。
また明日。

5/20/2024, 12:02:53 PM

理想のあなた

あなたはわたしの理想だけど、
わたしはあなたの理想なのかしら

理想って難しい

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