ハードルも石ころもないところで躓いて転ぶし
犬の尻尾を踏んで追いかけ回されるし
水溜まりに踏み込んで泥水を浴びるし
いいことは滅多に起きないけど
見上げた空に虹がかかればそれでいいと思える
『明日に向かって歩く、でも』
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自分を守ろうとするとどうしても視野が狭くなる。
思考が堂々巡りになって偏見まみれの結論になる。
だから外を見ようって話じゃない。
そんな簡単に視野が広がるわけでも一般ウケする結論にも辿りつくわけでもない。
君は今外を見る余裕がない。
これだけ頭の片隅に置いておけばいい。
なに、容量を増やす必要なんてない。
データと違って人の記憶は勝手に剥がれ落ちて忘れていくものだ。
そもそも君は今余裕がほしいのか。
違うだろう。
ありのままを受け入れてくれる環境がほしいのさ。
今君の周りにいる人は君の側面ばかりを見ている。
そんな状況で本音を言えば拒絶されるやもしれない。
拒絶は嫌だ。
だから言わない。
今はそう結論づけていいさ。
でも信頼したい、大切にしたいと人ができたなら本音もちゃんと言ってくれ。
君がそう思えたなら間違いなく受け入れてくれるさ。
今はまだ殻にこもる時期。
殻を破った君が一体どんな変貌を遂げるのか。
もしくは変わらず優しい君のままなのか。
今から楽しみにしておくよ。
『ただひとりの君へ』
太陽系が小指の第一関節くらいの大きさで、地球が指先にできた黒ポチのホクロかな。
比べる大きさが月とスッポン、いや太陽とミジンコくらい違うから全然しっくりこないんだけど。
『手のひらの宇宙』
私は高校生ごろから通学・通勤で音楽を聴いている。お気に入りのアイドルやアーティストの曲をCDから取り込んで、好きな曲だけに厳選し、毎日繰り返し聴いている。相棒はアイポッドタッチで、ここ二、三年でようやくブルートゥースイヤホンにも慣れてきた。
そんな私は最近出勤時にとてもイライラする。
なぜか、何も押してないのに次の曲へ勝手にどんどん進んでいくのだ。酷い時は五曲連続で歌い出す前に移り進んだ。
私は最初イヤホンの調子が悪いのかと疑った。でも家では問題なく使えている。ではサポート終了して久しいアイポッドタッチか、ギガパンパンのメモリーか。原因が不明のまま曲は次々と変わっていく。
その結論は突然降って湧いて出た。
次々と変わっていくこの現象が起きる周りの環境。
今日は風が強かった。この前はビル風に吹かれた。その前は慌てていて風を切るように走った。
そうだ、風だ。
風を強く感じる日がやたらと次へ進んでしまう。
風がイヤホンを勝手に長押しして操作してしまっていたらしい。その考えに至って、私は納得した。そう、全ては風のせいなのだ。
じゃあ何であの時、電車で揺られていたのに勝手に操作されていたのだろう。
『風のいたずら』
黒く染まったことも
赤く痛みを伴ったこともない
無垢な涙には二度と戻れない
そんな人生を歩んできました
『透明な涙』
大慌てで新幹線に飛び乗った。
外の冷気で冷え切っていると思っていたけど、空調で暖をとっても一向に手の震えが止まない。焦りと不安でとにかく落ち着かない。無理矢理目を瞑って深呼吸を繰り返す。それでも嫌な予感が頭に浮かんで目を開けてしまった。
早く。
新幹線の速度は変わらない。
早く、早く。
握り締めたスマホが手汗で滑り落ちそうになる。
早く。
何の前触れもなかった。それまで音沙汰もなかった。突然危篤だと連絡が来た。
元々物静かな人だったけど、最期までそっといなくなりそうだなんて。
じわじわ目に涙が溜まる。
まだだ。まだ何もわからない。
自分に言い聞かせる。
間に合え。
大好きな貴方の元へ向かう車中は、生きた心地がしなかった。
『そっと』『あなたのもとへ』