冬のお洋服といえば、そう! セーターですよね!
最近めっきり寒くなってまいりまして、お洋服売り場でもお探しの方をお見かけします。
そんな暖かいセーターで皆さんから必ず聞かれる質問がございます。
ズバリ!
「これって毛玉になりますか?」
観客の皆さんが大きく頷いております。
テレビの前の皆さんも店員さんに聞いたこと、ございませんか?
この毛玉は大半が摩擦によって引き起こされているんです。
お手持ちのセーターをよくご覧になってみてください。
毛玉の出来ているところといえば、袖口、脇や脇の下、裾の一部、ではありませんか?
また毛玉の出来ていないところは、背中、襟元から胸元にかけて、ですよね?
セーターと他のお洋服やカバンなど、繊維が当たり強く擦れる部分にできてしまうんです。
反対に衣服同士の擦れがない部分には出来にくいんです。
まぁ、皆さんそれぞれ着方が異なりますから、もっと違う部分にできたりします。
例えばジャンパースカートのふち部分とインナーのニットが当たる部分ですとか。
普段リュックを背負う方は肩や背中にもできます。
ちなみにセーターの素材は関係ありません。
化繊だろうとウールだろうと出来るものはできます。
そうやって聞くと、やっぱりセーターって手入れが面倒だしやめようって思っちゃいますよね。
その決断、ちょーーーっと待った!
大変お待たせしました!
今日皆さんにご紹介するのは、発達した文明によって生み出された代物です!
こちらがその!
自 動 毛 玉 取 り 器 !
ああ、待って待って!
そのまま、そのままでいてちょうだい!
はな、話だけでも聞いていって!
コホン、これは画期的なんですよ。
皆さんは手作業で毛玉取り、やったことありますか?
私はね、やったことあります。
糸切りバサミで一つ一つをチョキン、チョキンと切っていくんです。
今どきカミソリやスポンジの硬い面など裏技が発見されてますが、セーターの品質を長く保ちながらキレイに毛玉を取るにはやはり糸切りバサミか自動毛玉取り器なんですよ。
でも糸切りバサミはオススメしません。
なぜなら失敗しやすいから。
チョキン、チョキンと進めているうちに、ジャキンと数ミリ深く切ってしまうんです。
深く切ってしまったセーター、もちろんそこには穴が空き、ほつれていきます。
このセーターの補充作業もまーーー時間かかるんですわ。
チョキチョキ ジャキン チクチク
チョキチョキ ジャキン チクチク
ひたすらその繰り返しなんですが、皆さん一体どのくらい時間かかったと思いますか?
正解は、一枚のセーターにつき約二時間!
セーターに引っ付いた毛玉を全て除去するのに二時間も掛かったんです!
二時間って、映画一本観られますよね!
まあ映画観ていたらセーター穴だらけになりますけどね。
手作業の毛玉取りは本当にオススメしません。
時間と労力と肩こりと腰痛の無駄です。
そんな大掛かりな作業を変えてくれたのが、こちらの自動毛玉取り器。
充電式と乾電池式とコンセント式がありますが、それはお好みで。
いざ、スイッチオン!
私が使っているのと同様に、風車状の刃がクルクルと回っています。
このまま直接当てるとセーターに穴が空きますので、あらかじめガードをつけておきましょう。
さてこちらには毛玉だらけのセーターをご用意しました。
この一枚を糸切りバサミで切ると二時間は最低掛かります。
自動毛玉取り器の実力は如何に!
早速この袖の部分に当ててみましょう。
ゆっくりのスピードで小さな円をたくさん繋げるようにグルグルっと回していきます。
このまま繋げて見頃もやりましょう。
グルグル ジョリジョリ
グルグル ジョリジョリ
反対袖もやって、後ろもやって。
グルグル ジョリジョリ
グルグル ジョリジョリ
はい、皆さん、ご覧ください。
あれだけ毛玉だらけだったセーターが、あっという間に綺麗になりした!
掛かった時間は約十五分、大幅な時間短縮になりました。
このスピードだと空いた時間は好きな事に有効活用できますし、何より隙間時間にちょちょっと毛玉取りができます!
溜まった毛玉はここをパカっと開けるとそのまま捨てられます。
掃除フィルターも入りませんので大変エコ(?)ですよね。
さぁ、皆さん気になるのはそのお値段。
え? 百円均一でも売ってる?
でもよく取れて手入れしやすいものがいいでしょう?
こちら、毛玉取り器はメーカーによって差はありますが、大体千円から三千円以内には収まります!
何年も使うと考えれば、あって損はないです。
さぁ、皆さん!
今すぐ電気屋さんに駆け込みましょう!
『セーター』
今まさに握り締めたはずなのに
なぜ手からこぼれ落ちるんだ
スマホよ
『落ちていく』
ウチの両親は喧嘩が多い。母親が金切り声で何かを言い、父親が低い声で威圧する。暴力はないけど、声が怖くて仕方なかった。
なぜ両親は結婚したんだろう。
両親は当時で言う晩婚だった。三十歳を過ぎてから結婚して私が生まれた。両親の生きてきた時代からして、結婚を促されお互い嫌々結ばれたのだろうと考えていた。
「あ、おかえり」
あれから随分大人になった私は、両親が結婚した年齢になっても独身で実家暮らしだ。仕事から帰ると家族みんなバラバラに過ごしている中、今日はリビングのテレビ前に集合していた。
「あ、ほら、軽井沢のこの店。懐かしいわ、まだあるのね」
母はテレビの旅番組を観ながら声を上げた。そばには珍しく、父が寛いでいる。
その状況が異様な光景に見えた。
自分の部屋へ向かって手早く着替え、もう一度リビングに戻ると、母はソファに座り直していた。父は変わらずテレビ前で横になっている。二人ともテレビの旅番組に夢中なようで、ああだこうだ話し声が聞こえてくる。
「ねぇ、このお店。あの頃流行ってたわよね」
「ああ、行った」
「今もあるのね、今度行ってみようかしら」
「え、お前と行ったんじゃないのか?」
「は? 私アンタと行った覚えないわよ。どこの女と間違えてるわけ?」
「あれ? お前とだと思ってた」
「私は当時の彼氏と行ったわ。アンタとは行ってない」
一触即発のような会話を笑って済ませる両親に、似た者夫婦という言葉が思い浮かんで消えた。二人とも嫌がりそうだ、その言葉。
『夫婦』
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お題をスルーしてしまったとき
『どうすればいいの?』
大切なものを否定された。
どんどんヒートアップしてきて、手に負えなくなってきた。
守らなきゃと思った。
失くさないように奥底に仕舞ったはずだった。
奥底に仕舞ったから取り出すことが億劫で触れる機会が減った。
そのうちいつ、何を仕舞ったかすら忘れてしまった。
整理しようとして蓋を開けた。
昔懐かしの品々に混じる、一際輝くもの。
ひと目見ただけで、頭の中に蘇る記憶。
鼻の奥がツンとなりながら、胸に掻き抱いた。
ああ、私、これが宝物だったんだ。
今度は手元に置いておこう。
忘れないように、いつでも見られるように。
『宝物』
オレンジ色の光が灯る。
ひだまりのようなランプの光が部屋の中を照らす。
ランプの下には私が先ほどプレゼントしたばかりのアロマキャンドル。
リラクゼーションを重視して配合された香りは、説明文通り少し甘く、柑橘系の爽やかさも感じた。
今日誕生日だという大学の友達と二人きりで誕生日パーティーを開いた。
パーティーといっても出来合いの美味しいご飯とケーキを買ってきて、一人暮らしの友達の家へ上がり込んだだけなのだが。
プレゼントは何を送っていいかわからないから、最近アロマキャンドルを集めているという友達のために、火を使わずにアロマを焚くことができるランプを贈った。
友達は大喜びしてくれて、早速使ってくれているのだ。
女友達と二人きり。
程よい照明、芳しい香り。
ムードが高まる中、友達は真剣な顔をして正座をした。
私も釣られて正座をすると、友達は意を決して話し出した。
「これは、古くからの言い伝えにございます。決して、決して声を上げないでください。呼んでしまいますから」
「まさか怪談するとは思わないじゃん」
私たちの夜はまだ続く。
『キャンドル』