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7/7/2024, 4:37:41 AM

「ねえ、ウチら今星の上歩いてない?」
「はぁ? ぽよ何言ってんの?」
「暑さにやられたんだよ、ぽよは」
「ちげえよ、よく見ろよ下!」
「下ぁ? あ」
「星は上じゃない? あ」
「さっきまで雨降ってたじゃん? 街灯がさ、濡れた道路に反射して、超キラキラしてない?」
「あーね」
「確かにキラキラしてる」
「星空みたいじゃない!?」
「まぁ、言いたいことは分かるけども」
「星……星かこれ」
「星だよ! もうここまできたら天の川っしょ!」
「天の川!?」
「天の川は失礼すぎてマジウケる!」
「やばくない? 海水浴先取りって感じ?」
「アハハッ! 川なのに海水浴!?」
「キャハハッ、なら水着着てこいし!」
「ていうか今年海行く?」
「行くに決まってんじゃん」
「海とプールと夏祭り、あと花火大会と温泉旅行」
「マジ金足りないんだけど」
「何言ってんの? 約二ヶ月もまとまった休みがもらえるの、今年が最後っしょ」
「就活、卒業制作。色々あるけど遊ばないと!」
「あー、マジかー。バイト増やそう」


『友だちの思い出』
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駄弁っている時が楽しいのは私だけだろうか。

7/6/2024, 3:29:30 AM

「ねぇ、星見える?」

 耳にあてたスマホから貴方の声が聞こえる。仕事の都合で遠距離恋愛になった私たちは、その距離を埋めるように毎晩電話している。
 私はベランダに出て、空を見上げた。生温い空気が私の頬を撫でた。

「今日はね、北極星がすっごい綺麗だよね」
「うん」
「周りの星も綺麗でさー、って本当に見えてる?」
「うん、見えてる」
「よかった」

 貴方はどこで身につけたのか、自慢げに星の話をした。ここ数週間は、ずっと星の話ばかりだ。貴方が天文学に興味あったなんて、私は知らなかった。
 私は知らない。貴方の口から語られる話以外で、貴方を知る術がどこにもない。どこの誰と話して、どこの誰と食事して、どこの誰とこの夜を過ごすのか。私は知ることが怖くて、聞いたことも、貴方の元へ訪れたこともない。
 グルグルとよくない感情が、私の心を巡る。私の心を写すように、夜の空は雲に覆われていた。


『星空』

7/4/2024, 11:32:15 AM

 段差がなく、凹凸もない。
 坂もなければ、死角もない。

 そんな平坦な道を歩いている時、誰にも見られてない場面で日に何度も躓いていること。


『神様だけが知っている』

7/3/2024, 3:52:38 PM

 街がある

 光がある

 大切な人が待っている

 今まで険しい道を辿ってきたから
 抜けた先には自分の望むものがあると願って

 一歩一歩が速くなって
 とうとう駆け出して
 手を伸ばした


『この道の先に』

7/3/2024, 3:01:29 AM

--これからご飯食べない?

 早朝に君から連絡が来たから、徹夜明けの重たい瞼を無理矢理起こして出掛けていった。寝巻きからかろうじて着替えた首元がよれたTシャツにジーンズを合わせた格好は、普段なら絶対に避けるコーディネートだ。ただコーディネートを考える頭と、近所でご飯を食べるだけという認識がどうにも優ってしまった。
 駅前をうろつけば、すぐに君を見つけた。

「おはよう!」

 君が駆け寄ってくるから、俺は眩しくて目を細めた。

「徹夜明けだからもっと抑えてくれ」
「あっごめん、声デカかった?」

 トンチンカンな返答をする君に、俺は思わず笑ってしまった。声ではないんだよな、と。
 ただの挨拶に君の笑顔が合わされば、太陽に負けないくらい眩しいのだと言ってみたかった。


『日差し』

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