小さい頃
白い砂浜のきれいな海へ
両親が良く連れて行ってくれた
そこでいろんな貝殻を探すのが
楽しみだった
真っ白な小さくて可愛い貝殻
薄ピンクや
渦巻き状もある!
沢山の小さな発見が嬉しくて
白い砂浜に来るとワクワクした
家に帰って集めた貝殻を
洗ってピカピカにして
勉強机の棚に並べて眺めていた
ある日両親が
また海に行くよと言ってくれた
でもそこはいつもの白い砂浜ではなかった
私はがっかりした
すると両親は
ある所に私を連れて行ってくれた
中に入ると
キラキラした
沢山の貝殻達が
綺麗に並べられていた
大きさも形も様々な貝殻達
宝物がこんなに沢山ある!
喜んで眺めている私を見て
両親はずっと微笑んでいた
帰りの車の中
両親が私に綺麗に包装された物を
私にくれた
可愛いリボンシールが貼ってある
何だろう!?
包みを丁寧に開けると
そこには真っ白な小さい貝殻で作った
ポーチとネックレスが!
私は嬉しすぎて叫んでしまった
貝殻が大好きな私のために
両親が買ってくれていた
家に帰ってお気に入りの小物を入れて
ずっと大切に持っていた
ネックレスは家の中でしか付けなかった
勿体なくて外では一度も使わないまま
ずっと大切に持っていた
今そのポーチとネックレスは
小さな娘の手にある
ポーチには沢山のおもちゃが入ってる
今度ポーチを持ってネックレスを付けて
おじいちゃんとおばあちゃんと
白い砂浜の海へ
みんなで一緒にお出かけしようね
きらきら
星が
輝いている
星明かりに
照らされた雲たち
ふうわりと
風に流され一方へ進んでいく
大きな夜空に
圧倒的な存在感
ひときわ
華やかな
きらめきを放つ
まんまるお月さま
8月2度目の満月
ブルームーンだ
私はブルームーンに
明日もいい事ありますようにと
願いを込めて
きらめきを浴びてから
眠りについた
あなたにとっては
些細なこと
私にとっては
些細なことでない
あなたから
遠くへ行くと
さらっと言われた
「やっと来月有給が取れて
海外旅行へ行くことにしたんだ
イタリアへ!」
えっ?イタリア?私がずっと憧れてたイタリア…
しかもあなたは大型連休まで取って
10日間も行くと言う…
私があなたにイタリアの良さを
ずっと会う度話してて
いつか一緒に行こうねって約束してたのに…
明日のランチはイタリア料理にしてやる!
っていう夢を昨日見ました
入社してからあなたと初めて出逢った日
あなたからほのかに
香水の香りした
私よりも少し年上だけど
とても大人に感じた
とても素敵な人
私の好きな香り
あなたから漂う香りが
頭の中を駆け巡る
あの香りが
私の脳内にインプットされてしまった
常にあなたの香りを感じたくて
お店を回って必死に探したけど
あの香りがなかなか見つからない
あなたにはなんの香水か聞けない
あなたには既に家庭があるから
いつも忙しそうにしていて
気軽に話せるような人ではなかった
朝出社して、交わす言葉は
「おはようございます」だけ
その時すれ違いざまにあなたの香りを
いつも感じていた
ずっと探したけど見つからなかった
ある日
社内で別フロアの女性とすれ違った
その時
私の脳内から何かが思い出された
(この香り…あの人と同じ香り)
すぐに気付いて振り返ったけど
女性は綺麗な長い髪をなびかせながら
真っ直ぐ歩いて行ってしまった
あぁ、そうか…
大人で素敵な人は…私の憧れの人は…
何かがさーっと脳内から消えていった
【言葉はいらない、ただ…】
私が泣いていると
あなたは
その長い腕で
優しく抱きしめてくれた
でも優しくされるたびに
余計に私の心が小さくなっていった
あの頃の私は
何もかも未熟で
気に入らないことがあると
あなたに尖った言葉で傷つけた
大人びていたあなたは
すべてを見透かしたかのような目をしていたけど
いつも優しくしてくれた
でも私はとうとう
あなたから離れてしまった
優しさが辛かった
優しすぎるあなたが
あれから8年
あなたのことがずっと忘れられず
ただ過ぎ去っていく毎日
ある日ふと空を見上げると
うっすらと月が見えた
いつの日か
帰り道にあなたと見た月と似ていた
あの頃と月は何も変わらない
あなたの事を想いながら
ふと
口から漏れた
「あなたからの言葉は何もいらない、ただ…」
「あなたにもう一度逢いたい」
これからも
この世にいるはずもないあなたを
思い続ける日々
あの時優しさに甘えていたら
何かが
変わっていたのかも
変わらない月を
ずっと一緒に見られたかも