【言葉はいらない、ただ…】
私が泣いていると
あなたは
その長い腕で
優しく抱きしめてくれた
でも優しくされるたびに
余計に私の心が小さくなっていった
あの頃の私は
何もかも未熟で
気に入らないことがあると
あなたに尖った言葉で傷つけた
大人びていたあなたは
すべてを見透かしたかのような目をしていたけど
いつも優しくしてくれた
でも私はとうとう
あなたから離れてしまった
優しさが辛かった
優しすぎるあなたが
あれから8年
あなたのことがずっと忘れられず
ただ過ぎ去っていく毎日
ある日ふと空を見上げると
うっすらと月が見えた
いつの日か
帰り道にあなたと見た月と似ていた
あの頃と月は何も変わらない
あなたの事を想いながら
ふと
口から漏れた
「あなたからの言葉は何もいらない、ただ…」
「あなたにもう一度逢いたい」
これからも
この世にいるはずもないあなたを
思い続ける日々
あの時優しさに甘えていたら
何かが
変わっていたのかも
変わらない月を
ずっと一緒に見られたかも
8/29/2023, 3:30:27 PM