なぜこんなことになっているのか
持つことが出来なくなったペンを見下げて、涙が出たのです。
浅い息を自覚しながら
何も出来なくなったのです。
喉の奥がぎゅると
古びた機械音みたいに錆びました。
眼前の人は灰色のようにその日を生きていましたが、
派手色の私は明滅し、グレアじみて揺れていました。
私だけこんな、動け、私以外は大丈夫なのに。
体中異音がしました。
関節を勢いよく叩きつけました。
幸い動き出し、マネだけは出来るようになりました。
私は味を占めました。
騙し騙しまだいけるのだ。
何度も叩きつけ、動き。叩きつけ、動き。叩きつけ、動き。叩きつけ、動き。
ある日に陶器のように白く滑らかな腕を横目に、
小さな傷でボコボコになった自分の腕を見つめて、
まだ動くなぁとゆらゆらしていました。
「最悪」
声に出してはいけない言葉。
私が最悪だと思うのは、幸せの反対だと思うのは、それは私である。
最悪
出かける予定なのに雨が降った、大切なものが壊れてしまった、思いもよらないトラブルが起きた、何かに邪魔をされた。
その時
最悪
を口に出す。
上手く予定を立てていれば、気をつけていれば、上手くやれれば、運が良ければ。
そう出来なかった。と私は
最悪
を咲かす。
私は
最悪
の土壌だ。
最悪
の種は、膨らんで、育って、毒を振り撒く花を咲かせる。
爽快感、花を咲かせなければ私ではないとすら錯覚させることができる。
花は一度開けば加速度的に咲き誇り、土壌を腐らせる。
他を淘汰して、自らが咲きやすく組み換える。
咲かすのが易いから、さらに増えていく。
「あなたって最悪な人ね」
気づく。
素敵なものを遠ざけて、他をも取り込む強大な毒花畑になっている。
幸せの反対になっている。
私以外が美しいと思えない、毒花の聖域になっている。
最悪
運良くその醜さに気付くことができたなら、最後に言葉にするそれは、自戒になるだろう。
そうして崩れていった人をすら、もっと綺麗な花を咲かせればよかったのに、と心に留めるだけにするべきだ。
天にまします神様へ
願わくば私を哀れみ、この生を意味のあるものにしては頂けないでしょうか。
歩むことを夢見ながら泥濘に安住する私に
ここは決して居心地の良い場所ではないことを思い知らせていただけませんか。
思い知らせた上で、考えたことを成せる体にしては頂けないでしょうか。
あなた様のような素晴らしいひとに。
もしくは皆が口にする様な普通の人に。
なれると思える才覚、資格を
どうか与えては頂けないでしょうか
イブ……イブ……平日では?休みではなくなったから余計にめんどくさくなりはしたけれども。
プレゼント
あれをあげるという行為、ただ喜びだけが詰まればどれだけ良いかと思うけれど、そうはいかない悲しいいつもだ。貰ったものもあげるものもいつも外れてしまう。僕は山吹色が嫌いで、桜が嫌いだ。写真が嫌いで、長方形のアルバムという本棚に並べた時どうしても飛び出すものが嫌いだ。けれど友人のことは好きで、貰ったものは捨てられない。曖昧に手に取って、精一杯笑う。そして自分も選んだ筆記用具を差し出して、同じことをされる。そっと微笑みあって、できるだけ早く話を切り上げて見えないところにしまう。この一連の儀式だ。
肩肘張って外したプレゼントより、その後目の前に置かれる安売りのスナック菓子達の方が何倍も好きで喜びが詰まった時間を産むので、プレゼントをあげるという無駄な行為はいらないと思うのもいつもだ。