まえば

Open App

なぜこんなことになっているのか
持つことが出来なくなったペンを見下げて、涙が出たのです。
浅い息を自覚しながら
何も出来なくなったのです。
喉の奥がぎゅると
古びた機械音みたいに錆びました。
眼前の人は灰色のようにその日を生きていましたが、
派手色の私は明滅し、グレアじみて揺れていました。
私だけこんな、動け、私以外は大丈夫なのに。
体中異音がしました。
関節を勢いよく叩きつけました。
幸い動き出し、マネだけは出来るようになりました。
私は味を占めました。
騙し騙しまだいけるのだ。

何度も叩きつけ、動き。叩きつけ、動き。叩きつけ、動き。叩きつけ、動き。

ある日に陶器のように白く滑らかな腕を横目に、
小さな傷でボコボコになった自分の腕を見つめて、
まだ動くなぁとゆらゆらしていました。

7/19/2024, 7:09:28 AM