「もし、昔に戻れるとしたら何時がいい?」
そう問いかけてきたのは高校以来の親友
「何時がいいかな?中学位?」
中学校で折れ曲がってしまった私は言いながらしまった!と思う…
「それじゃあアタシに会えないかもじゃん」
クククッと屈託のない笑顔
「てかさ、今の知識を持ったままやり直したいょね~」
ホントにそう思う。
そうすればあんな男と出会わなくてすんだのに…
「ま、やり直してたらアンタの可愛いおチビちゃんは生まれてないか…」
そうだった…。
私と彼女は砂場で遊んでいる娘を見て目を細めた。
「あの頃の自分がいたから、今があるんだょね」
私は空を見上げる。
「そ、そ。辛かったし、これからも大変かもだけどさ~きっと大丈夫♪終わり良ければ全て良し!ってまだ、先はなげーなぁ」
彼女はまた、クククっと笑う。
つられて私も、ククっと笑った。
【あの頃の私へ】
「バタン…」
その音で、彼の機嫌が悪い事がわかる。
また、やっちゃった…。
出がけにだけはケンカしたくなかった。
けれどもう、これが日常
そばにいて欲しかっただけなんだけどな…。
私は大きくなったお腹をさする。
大丈夫…明日の朝には帰ってくるのだから。
また、明日には会えるのだから…。
「あーヤバいヤバい!遅刻ぅー」
玄関へ向かう娘を慌てて追いかける。
「いってらっしゃい」
「はいはいーいってきまぁす!」
ヤバい~絶対遅刻ぅ
…お母さん「いってきます」しないとめっちゃ怒るんだょね~マジ急いでんだけどぉっ!
どうせまた夕方には帰るんだからぁ~いちいち面倒くさい別にいいじゃん!
…気をつけていってらっしゃい。
あなたはちゃんと帰ってきてね……
「パタン…」
【また明日】
王様はわかっていた。
賢い者にしか見えない服なんてない。
あるわけがない!
まず、この洋服作ったって嘘つき達
処刑リスト入り!
「まぁ、素敵な服ですわ!」
「王様、早くお召かえくださいな」
コイツら…処刑!
どいつもこいつも
賢いフリしやがって
しかし、ホントに着たふりすんの?
これ…パンイチよ…
本物の家臣を探すためにはいたしかたあるまい。
「王様バンザーイ!」
「素晴らしい服だ」
「キラキラ輝いてるぞ」
「とてもシックで素敵」
「いゃあゴージャスだなぁ」etc……
なんとまぁ!
民衆までも賢いふりをしよる
えぇい!
みんな処刑!
「王様…裸んぼ?」
ピンボーン♪真の賢者見っけ!
ってえぇっ?
「なんて事をいうんだ!愚か者め」
「この愚か者を捕らえろ!」
あわわ…なんという事だ…
……こうして王様は
いつまでもパンイチで過ごす羽目になりましたとさ
めでたしめでたし
ちょっとナナメなアンデルセン童話
教訓…どんなに正しい事でも
1対10なら負けてしまうという理不尽。
多数派が正義となる不思議
正義とは不透明なモノですね…
【透明】
「ピコン♪」
通知音と共にポップアップされたスマホの広告
何なに?【理想の相手ツクール】?
マッチングアプリか何かか…
指先が動く
27歳=彼女いない歴
自分でいうのもなんだがかなりモテる
老若男女問わず…人気者のようだ
なのに…
「理想ねぇ…」
「お前は理想が高すぎるんだょ」
結婚が決まった友人に言われたっけ…
まずは自分のプロフィールか…
かなり細かい
次は相手について…と
登録に小一時間、自分の理想を詰め込んだ
【……アナタニピッタリノオアイテハ…】
思わず画面を覗き込む…とその瞬間
俺はスマホをソファへ投げた
…【アナタノリソウ】
ブラックアウトした画面に写った自分の顔
【理想のあなた】
死ぬばいいと思ってた…
居なくなるじゃなくて
死ねばと…
大恋愛だと思っていたのは私だけだった
結婚しても
子供ができても……
あの人は変わらなかった
愛が、憎しみに変わった
死んじゃえばいいのに…って
ホントに死ぬとは……ね(笑)
今
めっちゃ幸せだょ
ゴメン
死んでくれて
ありがとう
【突然の別れ】
不謹慎ですみません