朝起きたら必ずLINEして
学校に着いたら絶対に一番に会わないと
睨まれる
昼休みは一緒に遊ぶ
他の人と遊んでいたら
鋭い睨みと陰口で
私を徹底的に潰す
いつから友情は傾いたのか
固くつながれた『結情』
もう、ほどくことも
ほどけることもできない
「あの花が咲く頃に、また会えたらいいね」
そう言ったまま帰らぬ人となった彼女
花が咲いていた公園に行くと
その花は刈り取られ、ただのもぬけの殻の花壇になっていた
もうあの花が咲くことは無い
君に会えることも、もう──無い
『花咲いて』
夏の終わり
残った夏が雨に溶け、暑さが目まで染み込む、そんな日だった。
「……ごめんね、もう、無理」
そう言って微笑んだ彼女は、笑った目尻から、涙か雨か分からない雫を1滴だけ滴らせ、横断歩道の人混みに溶け込んで行った。
離れていく彼女の赤い傘は、見えなくなったあとも霞んだ灰色の景色によく見えるようだった。
しばらく雨に打たれて、ようやく
「あぁ、僕は振られたのだ」
と理解した。
あの時からずっと胸のどこかに隙間がある。
その隙間から幸せがぼろぼろ零れて、胸が満たされることは無い。
鼻に今でも残るのは、彼女がよく使っていた花の香りの香水と、あの雨の日のつんとした匂い
もしもタイムマシンがあったなら───
あの日に戻って、人混みに消えていこうとした君を引き止めたい
さびしかったよね
ごめんね
『もしもタイムマシンがあったなら』
『今一番欲しいもの』
家に男の幼なじみを呼んだ。
勉強会だのゲーム会だの適当に理由を付けて誤魔化したけど、あっさり来てくれた。
ベランダに出た私は、空を見て驚いた。
ゲームして、勉強しながらくだらない話して、妹が何だの親がなんだの、どうせ明日には忘れてる内容ばかり語り合って、そんなことしてるうちにこんなに夜がふけていたなんて。
ちらりと目だけで彼を見る。
小声で「綺麗……」と月を見つめる彼。
私は一瞬、頭にある言葉がよぎった。すぐにかき消すべき言葉が、口からそのまま出てしまった。
「……月が、綺麗だね」
ふと零れた言葉が急に胸に押し寄せ、顔がぼっと赤くなる。
「……そうだね、今日満月か……」
彼はそんな意味だなんて考えてもいない様子だった。
「こんなに大きい……手を伸ばしたら掴めそうだね」
物欲しそうに手を伸ばす彼。
月なんかいらない
私はずっと、あなたがほしい
『私の名前』
開いた目の先に
涙を光らせて笑う人が居ました
生まれて最初に教わったことは
だれかのことを想って 泣くこと
最後の空気を吸ったとき
鼻をすする音が聞こえました
旅立つ前に教わったことは
だれかのことを想って 泣くこと
だから私は、
泣きたいと思ったら心の底から泣きました
叫びました
こうやって泣くことが
だれかのためになるかもしれないから
生涯、涙と共に成長し続けました。
私の名前は
「────────」