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9/17/2023, 1:01:32 PM

「花畑」

「うわー、綺麗」

花畑をくるくると周りながら彼女はそういう。

「ねぇ、綺麗だね」
「そうだね」
「もー、ねぇ綺麗だね」
「うん。そうだね」

俺の返答に納得がいかないのか、何度も繰り返し聞いてくる。最後には、頬を膨らまして拗ねてしまった。

「"君のほうが綺麗だよ"とか言えないの?」
「君が綺麗なのは、いつものことだから」
「もー、そういうとこ嫌い」

何故かもっと拗ねられてしまった。
花畑の中にいる彼女は、どの花よりも綺麗だった。

9/14/2023, 1:50:20 PM

「命が燃え尽きるまで」

【ごめん。これで連絡最後にするね】

彼にこれだけ伝えたいと、病室を抜け出してメールを入力する。

【私達、別れましょう】

後は、送るだけ。

「なんでかな?手が震えるな。病気のせいかな?」

送るだけ。そう。送るだけなのだ。

送らなければ、彼の迷惑になってしまう。

「ごめん。やっぱり送れない」

【好きだよ。ごめん。死ぬまで好きでいさせて】

好きだよ。命が燃え尽きるまで。

9/13/2023, 2:04:30 PM

「夜明け前」

「なんで起きてるの?まだ夜だよ?」
「タバコ」

ベランダでタバコの煙に巻かれながら彼はそういう。

「ベランダで吸ってほしいって言ったの守ってくれてたんだ」
「約束は守る」
「そう?そのわりには、まだプロポーズはされてないけど?」

いつかのときに口に出した。そろそろ結婚しよう。毎回有耶無耶になって終わってしまう。
どうせ、夜が明けたら彼は忘れてしまうのだろう。ならば、これくらいイジワルしても許されるはずだ。

「忘れてた」

彼は、タバコの火を消した。

「夜が明けたらプロポーズしてやるから待ってろ」

そういうと、彼はベットに潜り込み、寝息をたてはじめた。

「はぁ、惚れ直しちゃうな」

夜明け前がこんなに美しく思えたのは、いつぶりだろうか。

9/12/2023, 3:38:01 PM

「本気の恋」

「好きだ」

横に座る彼が急に呟いた。私達の関係は、友達。それ以上でも以下でもない。なのに、彼は好きだと呟いた。

「何が?」

私は、あくまで鈍感ですよ。という風を装い質問を投げかけた。彼は、頭をかきながら悩む素振りを見せた。

「それは、断ってるってこと?」

彼は私の目をじっと見る。思わず私は、目を逸らしてしまう。

「逸らさないで、答えて。俺のこと、どう思ってるの?」

唇が震える。言ってもいいのだろうか。この関係を変えてもいいのだろうか。頭の中にそんなことが、駆け巡る。

「俺、本気だから」

私は、「私も」と呟いた。