Open App

「花畑」

「うわー、綺麗」

花畑をくるくると周りながら彼女はそういう。

「ねぇ、綺麗だね」
「そうだね」
「もー、ねぇ綺麗だね」
「うん。そうだね」

俺の返答に納得がいかないのか、何度も繰り返し聞いてくる。最後には、頬を膨らまして拗ねてしまった。

「"君のほうが綺麗だよ"とか言えないの?」
「君が綺麗なのは、いつものことだから」
「もー、そういうとこ嫌い」

何故かもっと拗ねられてしまった。
花畑の中にいる彼女は、どの花よりも綺麗だった。

9/17/2023, 1:01:32 PM