私ね、あなた以外の人のこと、みんな嫌いなんだけどさ。
……ふは、そんなにびっくりする?
うん、マジだよ、マジ。
なんでって……なんでもだよ。
中学生の頃とかさ、あなたと私以外の人類がいなくなれって、本気で毎晩考えてた。
……そうじゃないよ。『狩りも農業も自分たちでしないといけないし、電車も乗れなくなるね』って、ふふ、そうだけどそうじゃないよ! 文明レベルが下がるって話してないでしょ!
じゃあどういう話って、それは、………。
とにかく、まあ、考えてたの。あなたと私だけでいいのにって。
でも最近、思うんだよ。
あなたが【あなたじゃない人】とたくさん交流しているから、今のあなたがいるんだよなって。
あなたと私以外の人間がいてもいいかって、思えるようになってきた。
……ふふ。だから生活の利便性の話じゃないってば。
【ふたり】
【ここにある】
だから、忘れていいよ。
正直なところ、勉強は嫌いだ。
勉強というか、何かをすること自体がめんどくさい。運動も、出かけることも、食事のメニューを考えることも、何もかも。
達成感を得たい思いより面倒くさいという気持ちが勝つし、楽しいことをしたいという欲求よりも面倒くさいという怠惰が勝つ。
そんな私が、それでも、毎日机に張り付き勉強し、部活で結果を残そうと動き回っている理由なんて単純だ。
まるでエンジンでも付いているかのような、立ち止まったら死ぬんじゃないかってくらい、ひたすら努力し続けているあなたに、もう一歩だけ、それだけでいいから、近づきたいと思うからだ。
【もう一歩だけ、】
【君と飛び立つ】
それができたら、どんなに幸せなことでしょう。
アロマキャンドル。おしゃれっぽい。
そんな単純な理由だった。
一人暮らしを始めて、せっかくだからと買ってみたのだ。そしたら見事にハマりまして。
うきうきして友人二人を部屋に招待したというのに、ニコチン中毒者がテーブルの上のアロマキャンドルを見るなりこう言いやがった。
「火事になりそう」
「うとうとしながらの煙草よりマシだっての」
悪気がないのは知っているが、言い返したっていいだろう。反射的に悪態をついたところ、するっとマイペース女子が割り込んできた。
「どっちもかっこいいって。ていうかこれなんの香り? 私、これ好きー。センスいい! ね?」
「うん」
二人の言葉に、私の気分が上を向く。
「でしょ? どう、二人も一緒に。アロマキャンドルの手作り教室とかあるんだけど」
マイペース女子は笑顔で言い切った。
「選ぶのも後処理もメンドイ。あと金が無い」
「あんたはそういうヤツだよ」
【キャンドル】