アロマキャンドル。おしゃれっぽい。
そんな単純な理由だった。
一人暮らしを始めて、せっかくだからと買ってみたのだ。そしたら見事にハマりまして。
うきうきして友人二人を部屋に招待したというのに、ニコチン中毒者がテーブルの上のアロマキャンドルを見るなりこう言いやがった。
「火事になりそう」
「うとうとしながらの煙草よりマシだっての」
悪気がないのは知っているが、言い返したっていいだろう。反射的に悪態をついたところ、するっとマイペース女子が割り込んできた。
「どっちもかっこいいって。ていうかこれなんの香り? 私、これ好きー。センスいい! ね?」
「うん」
二人の言葉に、私の気分が上を向く。
「でしょ? どう、二人も一緒に。アロマキャンドルの手作り教室とかあるんだけど」
マイペース女子は笑顔で言い切った。
「選ぶのも後処理もメンドイ。あと金が無い」
「あんたはそういうヤツだよ」
【キャンドル】
あなたはもういないのに、世界が終わったりはしないのです。
あなたが教えてくれた、宇宙(そら)についての知識。
いつも、毎日。道すがら。
空を見上げるたび、頭の中に流れるあなたとの思い出が、どこまでも私を生かすのです。
【どこまでも続く青い空】
お前と一緒にやりたいことが、まだまだたくさんあったんだ。
何度も行ったカラオケだってまた行きたかったし、お前が珍しく興味を示してくれたアイドルグループのライブに一緒に参加したかったし、明日も同じ教室で昼メシを食べると思っていたし、来年も同じ教室で馬鹿みたいな話をしたかったし、卒業するまで一緒に帰りたかったし、進路が別れたって通話しながらオンラインゲームを遊ぶつもりだったし、お互いに成人した時には酒を飲みたかったんだ。
それなのに、なあ。
お前にはもう会えないんだって、どうして教えてくれなかったんだ。
声が枯れるまで
あなたを幸せにしたい
どうして、ひとりで待っていて、なんて言うの。