「小さな愛」
「空はこんなにも」
君が空に行ってしまってからしばらくたって、最近はあの屋上に行っていないなと気がついた。君がいた時は、毎日のように一緒に空を眺めながら語り合ったのに。隣に君がいないと思うとなかなか行く気になれない。でも、そろそろ私も限界かもしれない。溜め込んでいた食料は底をつきかけているし、最近は本当に暑くて溶けてしまいそうだ。心なしか息も苦しくなってきたような気がする。最後に、もう一度あの屋上に行こう。これで本当に最後。
久しぶりに扉を開けて外へ出る。瞬間、コンクリートに反射した熱気と紫外線が肌を刺す。階段を一気に駆け上り、屋上へ向かう。しばらく行かないうちに、この校舎もだいぶボロくなってしまった。
ごろんと屋上に寝転がる。背中が暑くて仕方がない。まるで鉄板の上に寝転がっているようだ。眩しさに瞬きながら目を開ける。空はこんなにも青かっただろうか。君とみた景色も、もうだいぶ忘れてしまったようだ。
そのまま空を眺めていたら、いきなり周囲が輝きに包まれた。あ、隕石。
※「空に溶ける」と繋がっているつもりです。
「子供の頃の夢」
子どもの頃、空を飛ぶのが夢だった。
小学校で七夕の時にもらった短冊。拙い字で書かれた空を飛びたいの文字。自分の夢とその理由を紹介する時、空を飛んで地球の果てまで行ってみたいと話した無邪気な自分。
今日、きっとその夢が叶う。だからこそ思い出した楽しかった頃の記憶。
ずっと、ずぅっと、なんで生きてるんだろうって、生きてる意味はあるのかなんて考えていたけど、最後に夢が叶うなら、良かったね。
じゃーね。
「どこへも行かないで」
ぐるぐる廻る思考に踊らされる。
あなたといると、いつもそう。嫉妬して、嫌なこと考えて、そんな自分に嫌悪して、思考がぐるぐるぐるぐる廻ってる。あなたのことを考えると、きりがない。自分の気持ちについて考えはじめると、きりがない。私はきっと、自分と1番仲が良かった時のあなたが好きなんだと思う。最近気がついた。いや、ほんとはずっと気づいてた。あの時のあなたに執着しているだけなんだって。でも、あなたの姿を見ると、喋っているのを見ると、たまらなく愛おしくなる。そんな時、いつも思い出すのはあの時のあなた。私に自分から話しかけてきてくれて、電話をかけてきてくれて、遊びに誘ってくれて、でも自分はあんな態度をとってしまった、嫌なことを言って傷つけた。やり直したい。離れていってほしくなかった。ずっと私のそばにいて。どこへも行かないで。
「君の背中を追って」
いつだって君は私の先を行っていて、私は背中を追いかけてばかりだった。勉強も運動も人一倍できて、優しい性格は誰にでも好かれた。でもそんな日々ももう終わり。最後だけは、私も君と一緒。さあ、手を繋いで、一緒に飛び立とう。もう、何も怖いものは何もないよ。だから、泣かないで。私は弱い君も大好きだよ。