名無しのきらり

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6/3/2023, 11:31:54 PM

 ほとんど人のいない昼休みの教室で、イジワルな女の子が私の席にやって来て言った。
「ねえ、隣の席のあいつのこと、好きなんでしょ。」
 恋愛を恥ずかしいものだと思っていた私は、内容を理解する間も無く否定した。
 嘘つくなよ、と言い捨ててイジワルな女の子は私の前から去った。
 女の子の言葉を反芻する。
 だってあいつは、仲良しの友達で、おもしろくて、やさしくて、話してて楽しくて、ずっと一緒に遊んでいたくて、かっこよくて、
 好きだ。
 ふっと頭に浮かんできた言葉に絶望する。
 それが恋だと気が付いたときには、もう失恋したかった。
「失恋」

6/1/2023, 3:56:02 PM

今日も雨。昨日も雨。明日も雨の予報だ。
梅雨の季節。ああ、今日も体育館は湿気が凄そうだ。床の感触も変な感じだろう。
部活ますます面倒だな、なんて思いながら体育館へと繋がる渡り廊下を歩く。
近い未来、梅雨の香りを感じるたびにこの日々を思い出すことも知らずに。
「梅雨」

5/29/2023, 2:57:40 PM

「ごめんね。」
思わず、泣きながら君に言ってしまった。
ただただショックだったのに、君の顔を見た途端に涙が溢れ出して。
私たちの夏は終わってしまった。私のせいだ。
なんとなく君に付いていったあの日、私の人生は大きく変わった。人生に宝物の様な3年間が加わった。
全ての始まりは君だった。
それなのに最後の夏、私はレギュラーで君はベンチだった。
君を県大会に連れて行きたかった。これは私のエゴだ。
それなのに君は、私をそっと抱きしめて言った。
「よく頑張ったね。」
君も、泣いていた。

「ごめんね」

5/28/2023, 3:26:37 PM

熱い光にじりじりとする肌。少しだけ久しぶりの感覚。
ああ、今年も夏がやって来る。

「半袖」