#エイプリルフール
私は、エイプリルフールが嫌いだ。
姉は、いつも嘘を付く、嘘吐きだった。
そんな姉が、大嫌いだった。
姉は、悲しいときには笑い表情の裏で泣いている。
俺は、まだ幼かった。
だから、あの白い部屋のことをなんというかわからなかった。
姉は、いつも寝ていた。
今も思う、不自然だった。
昔は、笑顔で出迎えてくれた姉が今では寝っぱなし。
だから、幼かった俺は姉の体を揺さぶった、だが姉の体は冷たくなっていき、最後に姉は「大丈夫」と言い冷たくなって眠ってしまった。
それは、姉の誕生日4月1日エイプリルフールの日。
嘘吐きだった姉は、ずっと大嫌い。
#幸せに
姉が結婚した。
姉には、たくさんの迷惑をかけてきた。
母は、他界し父は暴力を振るうクソったれだった。
だが、姉は俺をかばって暴力を受け続けた。
それのせいで、姉の背には大きなアザがくっきりと残り過去を今でも鮮明に思い出させる。
俺は、姉を幸せにするために尽くしたといっても過言じゃなかった。
姉に気がある奴を調べ尽くし、選別し合コンをセッティングしてくっつけた。
あぁ、やっと幸せにさせてあげられた。
分かっていた、今までのこと全部全部
弟が仕組んでくれたものだとわかっていた。
ありがとう、愛しい私の弟。
#なにげないふり
彼のことなんて考えたことない。
けど、彼は近寄ってくる。
なぜか、彼の近くにいると鼓動が早くなる。
そんな日々が続いたある日のことだった。
彼が消えた。
いや、この世からといった方が正しいだろう。
私は、考えた。
なぜ、彼が消えたのか。
それは、明白だ。
奴の仕業、どう考えてもな。
ロクデナシ、皆からそう呼ばれるあいつ。
彼と、よく喧嘩をしてたバカだ。
私は、あいつのもとへいった。
アイツが、彼を殺した方法で。
首締めで、彼は殺されたんだ、私もやり帰してやる。
そして、私は奴を殺した。
私も、母のように私も彼の後を追った。
雲を越え星となった私たちのあるべき場所へ。
そこで、母が父と楽しそうに歩いていた。
#ハッピーエンド
彼女を幸せにしたい。
彼女はいつも泣いていた。
父親と母親が離婚、母親が離婚によって精神崩壊した。
俺だったら、不登校になっていたと思う。
彼女は頑張っている。
けど、神はいつも頑張る彼女の人生をおとしめようとする。
けど、彼女は負けない。
負けなかった。
けど、彼女はまだ神に降参しない。
永久の眠りについても、諦めない。
だれか、彼女にハッピーエンドを。
#見つめられると
毎朝、電車に乗る。
向かいの電車の、いつも同じところにいる彼女。
いつも、ジッとこちらを見つめる彼女。
目が合うと、すぐ逸らしてしまうが、なぜか胸が高まる。
頬を赤く染める君をみると何だか、視線を逸らしてしまう。
もっと、近くにいきたい。
話しかけてみたい、けど、体が彼女を拒んでしまうのだ。
嫌われたらどうしよう、初対面なのにどうやって話しかけるんだ。
そんな、不安が頭を遮るのだ。
毎日、向かいの電車にのっているあの彼。
ついつい視線を送ってしまう。
けど、視線が合うとついつい、逸らしてしまう。
恥ずかしくて、顔が赤くなっているとき、彼は視線を逸らす。
近くにいきたい。
喋ってみたいけど、体が彼を拒んでしまうのだ。
初対面なのに、どうやって話しかける?
変だと思われたらどうしよう。
そんな、不安が頭を遮るのだ。
あぁ、けどあってみたい!
嫌われてもいいからあってみたい!
今日は、卒業式。
もう、この電車には乗らなくなる。
そしてあの電車にのっている彼とも、もうあわない。
最後に、想いを伝えたいと思い探した。
彼を探した、必死になって探した、けど彼はいなかった。
あきらめて帰ろう、そう思ったとき。
後ろから声がした、誰だろうか、聞いたことがない声だ
「ねぇ、君さいつもこの電車乗ってるよね」
私は、振り向いた、すると彼がいた。
そして、想いを私は吐き出した。
嫌われてもかまわない、だだ最後に思いを伝えたい。
もう会わなくなる彼に。
彼に言った「好きです」 彼は頬を赤く染めていた。
そして、俺は言った「僕も、一目見たときから好きでした」
私は喜んだ、心の奥から安心した。
そして、私と彼は付き合った。
大人になって結婚して、子供にも恵まれた。
そして、寿命で一緒に彼と共に雲を越え星となった私たちのあるべき場所へ。