ねえ、あんなに綺麗に光っている星がとうに死んでいたとしたら、きみはどうやって生きていくの。何百年も何億年も前に死んだ星の断末魔を、たぶん一度は見てきたと思うんだけど。
ずうっと、明日を生きていけるんだって漠然と思っている。真実味を帯びて存在する不安や恐怖を分からなくなってしまうような病を抱えたまま、最期までいけたら、嬉しいな。
胸の中で硝子が割れる音は、たぶんずいぶん前に終わっていて、もしもきみの光がきみの断末魔だったらどうしよう、って。だからこれは、祈りだよ。砕けた星を繋いで、見ているんじゃありませんように。
もし過去に戻れたらどうする?未来が見えたって変えられるような気がしないや。みんなが脇役じゃないから。
そんなもの乞うなら生まれてこなければよかった。運命の資格がないと出会えないって信じているなら、たぶん、どうにもしてあげられない。
本当に出会った人同士は、二度と別れたりなんかしないと思うよ。かつての登場人物が、いなかったことになったりなんかしないでしょう。光景は思い出に似ていた。雪くらいの厚さで胸に積もるような余情だった。それでも、奇跡をもう一度。必然だって教えてほしい。
これから死んでいくんだろうな。って人を前にして言えることなんてないよ。帰りたいなって思っていた。ここではないところへ。
夜らしい闇に染まり始めた街がバスの窓から見えた。重そうな暗雲が血を流すみたいに夕暮れの赤をちらつかせている。足は疲れていたけど、バスは踏切を静かに待っていた。踏切の中だけはやけに明るくて、そこを通っていく人は光を通り過ぎていった。闇から来た人の頭が、一度光を通って、また向こうに歩いていった。
バスが進みだした。光は簡単に私の上を通って、向こう側に消えていった。また一つ、時間を通り過ぎた気がした。
そして目を閉じて眠ることもしないで、くだらない動画を見て笑った。誰かの大切な時間を切り取って作られたものをくだらないなんて言ってしまっているのは自分だ、とも思いながら画面を眺めていた。
やるべきこととかじゃなくて、やりたいことだってやるのにはエネルギーが必要で。それだって別にあるはずなのに手をつけないでぼうっと生きている。毎日が憂鬱だって思ってしまう。全部考えたくないだけなんだろう。
こんなんでもたぶん、今日も生きたんだと思う。きっと明日も生きていける。