社会人になってから…
自分がやりたいこと、好きなことをするためには、
常に最善の策を練るように心がけてきた。
策を練るにあたって重要なのは、
最悪のパターンも想定しておくこと。
想定外なことも間々あるが、
そんな時は
「命まで取られなければ善しとする」
「何ともならないことが起こるはずは無い」と、
その覚悟と信念で(気付けば数十年)
どうにかこうにか生きてきた。
概ね今のところ、
被った悪は「かすり傷」程度で済んだと思うし、
褒められるほど、大したことは成せていないが、
そこそこ好きなことをしながら暮らしている。
そして、傍らには猫。
そんな私のことを
善人だの悪人だの言われようと、知ったこっちゃあない。
野望はまだある。
#29「善悪」
起き抜けのボサ頭でキミが
「これでいいや」と林檎を手にする。
「1位と7位だって。」
シャクシャク…
「へー。どっちが?」
シャクシャクシャクシャク…
「あれ?どっちだっけ?」
…シャクシャクシャク
その林檎を丸ごと齧りながら、
垂れ流されていたテレビの星座占いランキングを見て、
「おはよう」よりも先に話しかけてきた。
「フツーよりやや下ってビミョー。」
「わかる。それな。」
「どうせ当たってないんだけどね。」
…シャクシャクシャクシャク
「あ!そーいえばさ。さっき叶ったよ。」
「叶ったって?何が?願い事?」
「そそ。ねがいごと。小さい頃に、流れ星を見たことがあってさ。その時のマイブームが白雪姫でね。」
「ん?もしかして、あの…王子様からのキスで蘇生するやつ?」
「そう!ソレ。マセてたんだよねー。家族でどっかの山ん中でキャンプしたことがあってさ。みんなで夜空見てたら、ちょうど星が流れてきた。」
「へぇー…って!…あっ!」
シャクシャク…ゴクッ
「なに?」
「で、さっきの?」
「そ。」
「…死んではいなかったけどな。」
「昨日はほぼ死んでたよ。」
……シャクシャクシャクシャクシャクシャク
「確かに飲みすぎた感は…ある。」
「てかさー!アレ!!ゲロチューだけはマジ避けたい!」
「あー!アレはホント絶対アカン、やつ!」
シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク…
ちゅ。
……ゴクンッ!
「もっかいしとく?」
それで結局、星座占いランキングの1位はどっちだったんだっけ?…ま、いいか。
#28「流れ星に願いを」
「…帰れなくなるけど、いいの?」
「んー。実はね、言い訳ならもう考えてある。」
「用意周到だね。」
「…だって、今日しかないと思って。」
「どうして?」
「何となく、なんだけど。初めては3回目って決めてたから。」
「そういうの、他にもある?」
「あるかもしれないし、ないかもしれない。」
「わかった。じゃあ、とりあえずコンビニでも寄ろうか。」
#27「ルール」
港の公園のベンチに
2人並んで腰を掛ける。
観覧車の時計がもうすぐ
21:00をまわろうとしている。
ふいに、
キミの指がボクの指を絡め取る。
ボクはその手を逃がすまいと、
少し強く握る。
キミとボクの体温と
さっきよりも汗ばむ感触が
混ざり合う。
今日一日、
キミもボクと同じくらい純粋に
「ヨコシマ」だったんだね。
#26「今日の心模様」
どれも違くて
それでいい。
知っているなら
それでいい。
#25「たとえ間違いだったとしても」