🐈‍⬛‪⋆ . * 🌎☽ りら猫帝国☾

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8/16/2025, 10:29:34 AM

あんな場所にいたせいで
自分の馬鹿さに気づいたせいで

あなたの苦しみも
今ならわかるけど
許さないから
「くそばかやろう」

ギラギラいつまでたっても
雨が降りそうにもない
脳天気な夏空に
「くそばかやろう」

何だってできそうな希望も
いつだって砕けそうな自信の無さも
見上げた空が広すぎて
「くそばかやろう」

私の苦しみが全て
愛しいあの人に続いてたことも
「くそばかやろう」

明日もきっと
私は愛に生きている

#66「遠くの空へ」

8/15/2025, 10:25:25 AM

ただいま
おかえり

ずいぶん遠回りした帰り道は
全力で走って、転んで、崖っぷちで見た走馬灯

「あの頃は良かった」なんて
思い出になんかまだしたくない

必死で糸を手繰り寄せた
帰る場所
やっと聞けた声に
安堵で涙

また一緒に戦えるね
前ほどではないけどね

何でもいいと思ってたけど
あなたがいないとダメだった

#65「!マークじゃ足りない感情」

8/14/2025, 12:59:43 PM

いつも待ち合わせた喫茶店で
向かい合う席に座る
二人は今日、別れを決めた
「御注文はお決まりでしょうか?」
「アイスコーヒーを2つ」
いつも通りのオーダー

夏はもう過ぎたけれど、暑さはまだ変わらない
もう少し涼しくなれば
「ホット2つ」だったのに

伏し目がちに瞳を潤ませ
けれど、涙はこぼれない
唇を少し噛むキミ
「仕方ないよね」
キミを見ないフリをして
窓に目をやり
呟くように切り出した

俯いて「ごめんね」と返すキミ
運ばれたアイスコーヒーに
ボクはストローをさして
カラカラと氷をかき混ぜる

キミと視線が合うことは
もうないだろう
次にキミと会う時があるとしたら
キミの隣には
ボクじゃない人がいるんだろうな

アイスコーヒーを一気に飲み干して
「この後、仕事でさ…」
掠れた声で続かない言葉
「ありがとう」が言えないまま
キミを置いた

振り返らないボクの背中を
キミは見ていただろう


#64「君が見た景色」

8/13/2025, 1:45:45 PM

好き放題言ってくるバカの言葉に
わざわざ貸す耳は無くそう
そう決めた

#63「言葉にならないもの」

8/12/2025, 11:04:46 AM

夏の繁忙期の打ち上げが終わって
二次会も終わって
気がついたら
二人きりで
お互いどっちの駅かも知らなくて
聞かれもしないから
聞きもしなかった
ただ川沿いを歩いて
しばらくして
並んで座って
話したりして
蚊に刺された
立ち上がって手を差し出されて
その手を取って
また歩き出す
川沿いを上流に向かって
一駅分
三条大橋の烏帽子が並ぶ
時刻は0時半を過ぎた
終電はない
蚊に刺された腕を掻きながら
「もう、帰らなくてもいいかな」
と呟いた
「痒い?」
聞いてないフリで聞かれた質問に答える
「痒い」
川沿いから路地裏に入り
「宿泊」の文字が目に入る
夏のせい


#62「真夏の記憶」

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