花の香りと共にやってくる
それは甘い囁き
暖かな眠り
死という存在
裏切らないもの
隣にいるもの
快楽こそ暗闇への第一歩
明日が必ず来るとは限らない。
花の香りと共に
名付けられたそれを飲み込んだ。
境界線も曖昧に融けて掴みきれず
ずっと探したままで歩いてる
あなたの骨の白いのは、あなたが名付けられたから。
肉付いた人生でさえ骨を彩れないのは
確固たるあなた自身があなたに埋もれているから。
あなたの涙の透明は、誰かに染まり切らないために。
ぜんぶ透き通ってしまえば遠くの色が見えるように
内側から溢れる透明でさえ世界を彩る一部でしょう。
透明で塗りたくったのなら何色に染まるか。
透明
きらきら落ちてくお星さま
みんなの願いを背負って燃えてゆく
はやる気持ちのまま走ってく
急かされるように消えてゆく
いつかずっと遠くに届く光の尾
でもあなたの願いは叶わない
死ぬために生まれたわけじゃなく
にどとはみれぬおんなじいろの
ゆれるひかりがなみだみたいね
くらいところまで、くずになるまで、
光あれと願うことがあなたの苦しみに変わる前に。
星
願いが1つ叶うならば
あなたの声で世界を聴いて
あなたの瞳で世界を知って
あなたの両の腕で眠りたい
忘れてくれとか愛してるなんて言葉で許さないで
ごめんねとかありがとうって突き離さないで
あなたと共にいない私を認めないでよ
言えなかったまま喉の奥に詰まってる
愛されずとも愛して芽吹いて咲いて
巡る命をまたあいせるだろうか
きっといつまでも変われないままでいるからさ
忘れられずにいることもなにもかも
ぜんぶ許さないでいてよ
願いが1つ叶うならば
ただあなたに会いたい
許さずにいてくれたら独りでないような気がして。
願いが1つ叶うならば
「ほんとにこの時期って嫌。目とか鼻が痒くて。」
そう言って3枚目のティッシュを抜き取り勢いよく鼻をかむ彼女の、赤くなった鼻頭を見てくすりと笑う。
相変わらずアレルギーの酷い様子で見ていて痛々しいが、慣れてくると涙目がなんだか可愛く見えてくるものだ。「笑わないで!ほんとに辛いんだから!」なんて抗議しつつ私の腕を抓る彼女はいつも通りの容赦の無さでこれでもかと眉を吊り上げている。
「ごめんごめん。鼻セレブ買ってあげるから許して。」
「やった!ちょっと良いやつだ!」
柔らかいティッシュを貰えるだけでこんなに喜ばれるのなら、もう少しくらい花粉に困ってくれてもいいのに。いや、辛くなくなるのならそれに越したことはないのだけれど。もう少しくらいは弱った君を見ていたいのも本音だ。
風が運んでくるのは、単に花粉や種なんかではないのかもしれない。
遠くで鳴る音、生命の息吹、こころ。風が運ぶもの。
風が運ぶもの