永遠なんて一口齧ればなくなってしまう
穴が消えてもドーナツなら
外側なんてなんでもいいの
穴が空いてこそドーナツなら
内側以外はいらないじゃない
心残りが私を作る
過去を噛んで未来を生きる
ぐるぐる輪っかになっていく
不完全を完璧と呼んだ
わたしたちまるでドーナツね
永遠に回る輪っかの始まりはどこだ。
永遠は終わりが無いと永遠でいられないと思うんです。欠けているものが見えるから完璧ではないとわかるように、ドーナツの穴だって無ければ完全にドーナツだと言い切れない。心に空白があるからこそどうにかそれを埋めたくて生きていられるんです。
永遠に
あなたには選ぶ権利が与えられている
あなたは自由を選択できる
あなたはそれを拒絶できる
あなたは全てを理解している
あなたは不自由を選択している
喰んだ草の命はどこにあるか
蜘蛛の糸の先には何があるか
振り向いた道には何がいるか
離れた視点の向こうで何を見るか
あなたは選び続けている
ここはあなたの理想郷。
知能ある生物としての尊厳なんて馬鹿馬鹿しい。評価や法や倫理なんかで雁字搦めになったのに幸福を夢見てしまう。ただの動物でいるだけで苦しいなんて、素敵な進化があったものですね。他人の家畜になるために生きているみたいな理想郷。でもそれを選んだのは間違いなく私だったはず。
理想郷
懐かしいと思うのは
今はもう会えない時間だから
憎んだっていいから
どうか私を良い思い出になんてしないでくれよ
声さえ忘れられないくらい焼き付けて、聴かせて。
あなたのことが好きだと言うことを伝えたくて言葉を並べ立てています。簡単な言語的コミュニケーションでもってあなたに私の心を話したいのだけれど、やっぱり好きだという安直な言葉は気恥ずかしくなってしまいます。人間が好きです。頑張って生きている人々が好きです。だから懐かしいとか過去の思い出になってほしくなくて、今同じ時間を苦悩して生きているあなたが好きだと伝え続けたいです。
懐かしく思うこと
カオス的軌道を描く羽搏きはあなたの涙
あるわけないじゃないそんな妄想なんて
時間だけがただ一つの正しいものだ
過ぎ行く全てを見送っているとまた過ぎ行く全てへ
涙で空を変えられるなら泣くと良い
美しいあなた、もう一つの物語などありはしないよ
落とした靴が硝子であったら違っただろうかなんて。
問いかけても何も語らない私を掘り返して、思想の雫を詩に溶かしてみると、存外考えもしなかった自分への答えを見つけます。色彩豊かなのか混濁なのか、捉え方はそれぞれです。蝶の羽搏きではあなたという名の私は救われない。
もう一つの物語
列車の中から救い出して
なけなしの意地で転がるのはまだ生きてる証
失いたく無いのに変えなければならない何が迫っている
祈るべきか差し出すべきか
自分と神とどちらを選ぶか
辛うじてまだ死なないだけで
夢を見てるんじゃ無いか
人間である前に動物でいること
痛むこと
まだ生きてる証
少なくとも不幸ではなかった幸福を
列車から救い出して
自身さえ訝るような魂の行方を
掻き出そうと藻がいている胎内の衝動を
救い出して
灰は燃えない
暗がりの中で燻る灰を弔ってくれ
まだ生きてる証を燃やして
燃やして
どうか
ここが地獄じゃないのなら一体どこが地獄だっていうんだ
体の中で脳みその中で暴れ回っている衝動を上手く掻き出せずに、もどかしくて苦しむ時間を繰り越す日々はまるで止まることのない列車のような。この世界は悲観的な個人には生き辛くて、どうせ潰される思想ならせめて言葉に残して弔ってやろうと思っています。価値観なんかで塗り固めた皮を剥げば所詮動物でしかないのなら、何も残らなくとも燃え滓の生き様で走り抜けてみたいですね。
暗がりの中で