早めの帰宅
外はまだ明るくて
オレンジ色の光がキッチンの窓越しに隣の家を照らしてるのが見える
さて
翌日が休みという吉日に早く帰ってこられたのだから
何かとっておきの甘いものが食べたいぞ
ということで
帰り道にセブンで購入してきた
8枚切りの食パンとチョコソースとスーパーカップの超バニラをリュックから取り出す
浮き立つ心を抑えながら
まずは食パンの白い部分を指でぐぐぐっと凹ませて
そこにマーガリンのちっちゃな塊ををテンテンテンと置いて
さらに砂糖を全体的にまぶす
そしてそれを
魚焼きグリルへ放り込む
タイマーは2分ぐらいでかけようと思ったけど
まあ感覚でいけるだろという謎の自信に基づき
タイマーはセットせず
はい
いい匂いがしてきました
グリルを開いてみると
おお
こんがりと最高の焼き目
スキップしそうな心を懸命に押し留めながら
パンを皿に移す
さあここで登場するのがスーパーカップとチョコソース
コンロの火で軽く炙ったスプーンを雪原に突き入れる
銀色のスプーンの脇からとろお、と白い液体が溶け出してきた
うわあ
と声にならない歓喜の悲鳴をあげながら
ぐりぐりっとアイスをくり抜き
トーストの凹んだ部分にのせていく
そして極めつけはチョコソース
全体にまんべんなくかけていく
黄金色の絨毯につやつやのアイスとチョコが鎮座する様のなんと壮観なことか
うはあ、よだれがとまらん
金曜日
今週もよく頑張りました!
ふとした瞬間に見せる
何も武装してない君の本音はすごく柔らかくて
脆くて
いつもはあんなに強気な君のことを少しうざったく思ったりもするのに
ああいう時にはなんとかいつもの強い君を取り戻したくなって
何重にも言葉を充ててしまう
どうしたのそんな弱気になって
らしくないよ
そんなティッシュよりも軽い言葉でも降って積もれば厚くなるだろうから
その言葉の厚みでいつものでかい態度の君を作り上げようとしちゃうんだ
でもほんとはさ
君の本音をそっと撫でて
大丈夫だよって
安心してって
その不安の隣にのんびり座っていられるぐらいの強さがわたしは欲しいんだ
君がお腹が空いたーって倒れていたら
給食室にあるあの大きな寸胴鍋で、君の大好きな筑前煮をたくさん作ってあげる
君が心の底から喜んでいたら
グラウンドと同じくらい大きなケーキに一緒にダイブするよ
君が寒い部屋で凍えていたら
あの黒板よりも大きな毛布を持って駆けつけるし
君がこの世の終わりみたいな顔して泣いていたら
その細い手を引いて
もっと大きな世界に引っ張りあげて
この小さな世界だけが全部じゃないんだって
心配性な君に教えるから
ほら
君にはこんな私がついてるんだから
安心して生きてね
あなたが好きだ
大好きなんだ
どれぐらい好きかといえば、
唐揚げとクレープとピザと蕎麦のミックスプレートに、ハニーマスタードとポン酢を回しかけ、デザートにはマカロンとチーズケーキを添えるフルコースよりも大好きなんだ
今だって
一昨日の電話のあなたの声が耳の奥の有毛細胞を未だに揺らしてる
あたかもプライミング効果を狙うかのように
大切な人、特別な人とさり気なく繰り出すあなたは
意地が悪いのか
それとも照れてるだけなのか
ああ思い出すだけでみぞおちの奥がぎゅってなる
体が、熱くなる
これが好きっていうことの証左だとしたら大変だ
電話越しの声を思い出すだけでこんなにも縮こまっているのだから
直接会うことになったら
触れ合うことになったら
どうなってしまうのだろう
地雷級の大爆発を引き起こして人生を終えることになるかもしれない
でも今すぐにでも会いたい
触りたいし
触られたい
もしかしたらいつか君との電話も繋がらなくなって
二人のどちらかが静かにフェードアウトして
何もなかったかのように他の誰かと結ばれてる
そんな未来が来るかもしれない
だからわたしは
あなたのことが大好きだというこの確かな現状と
大事に思う人がいるというこの揺らがない事実を
目一杯抱きしめながら、布団に潜る
曇天に埋め込まれた枯れ桜は
花霞と呼ぶにふさわしい淡さで
目を離せば二度と見つけられないのではないかと思わせるほどに頼りなさげであったけれど
その時降り注いだ一線の光は
まるで何十年という時間を巻き戻したかのような輝きを桜に与え
一陣の風が吹いても散り離れることのない花弁は
その一枚一枚が発光しているかのようであった
あの光景をほんの数日前のことのように思い出す私の目の前にあるのは
子供が寝転がれるほどに大きな焦げた茶色の切り株と
弾けるようにみずみずしい新芽がぽちょんと