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曇天に埋め込まれた枯れ桜は
花霞と呼ぶにふさわしい淡さで
目を離せば二度と見つけられないのではないかと思わせるほどに頼りなさげであったけれど
その時降り注いだ一線の光は
まるで何十年という時間を巻き戻したかのような輝きを桜に与え
一陣の風が吹いても散り離れることのない花弁は
その一枚一枚が発光しているかのようであった
あの光景をほんの数日前のことのように思い出す私の目の前にあるのは
子供が寝転がれるほどに大きな焦げた茶色の切り株と
弾けるようにみずみずしい新芽がぽちょんと





4/13/2025, 9:05:31 AM