「理想のあなた」
「一目惚れです!」
最初は驚いたが、そうだとすると今までの神出鬼没な彼の行動も辻褄が合う。一目惚れとは…?と疑問には思ったが、悪い話では無かったのでとりあえずお付き合いしてみる事にした
私は彼の理想に近いという事だろうか。出会ったばかりでお互いの事全然知らないのに?という事は見た目か?
じゃあ私の性格を知ったら、どうなるんだ…?
なんだか突然怖くなった
結局その悩みは杞憂だった。彼の理想とまではいかなくても、許容範囲であれたら良いのだ。誠実に向き合っていたら彼も誠実に返してくれた
一目惚れというのも、外見というよりは所作や雰囲気に惹かれたらしい。これなら安心して歳をとれる
これからも末永くよろしくね
「突然の別れ」
縁を切ろうと思って何年もかけて疲れながらもノリ悪く接して疎遠にするのと
あれ〜?そういえば最近会ってないなあ?で数年経っていて、なんか今から連絡とるほどでもないなあと疎遠になるのと
心境は大きく違えど、やってる事だけ見るとちょっと似てる気がして
この現象に名前はあるのかしら
「恋物語」
お付き合いをして初めてのクリスマス
彼氏と出かけたときに、欲しいものを聞かれたが正直に「フライパンくらいしかない」と伝えた
彼の方からは良いフライパンを3つ贈って貰い、料理が快適!嬉しい!
そんな話を幼馴染から聞いた私
「良かったね。でも次から返答に困ったらネックレスって言いなね。ちょっといいネックレスは自分じゃなかなか買わないけど、3つくらいあっても困らないからね。フライパンって多分初めてのクリスマスで買ってもらうプレゼントじゃないよ。3年目以降くらいのやつだよ」
そうお節介な事を言いながらも、彼女らしくて良いクリスマスだったんだろうなと思いを馳せた
「真夜中」
都会でのひとり暮らしにも仕事にも慣れて充実していた頃、私は夜勤のある職場に勤めていた
夜勤のせいで身体が完全に夜型になり、深夜にカップ麺を啜るのが日常になっていた当時。日付けが変わる前に退勤した私はふと思い立ち、近所の某こってりラーメンチェーン店にふらりと寄り道をした
ラーメンが仕事終わりの疲れた身体に染み渡る感覚と、ちょっとした贅沢感と背徳感を同時に楽しんだ
閉店のタイミングで店を後にし、夜の空気を吸い込みながら四車線ある広い道路を歩いて横断して帰宅する。日中は車が多く、横断なんて不可能。でも真夜中なら…
お腹が満たされポカポカする身体に夜の空気が気持ちよく。ひとり足取り軽く背徳を楽しむ
「愛があれば何でもできる?」
無償の愛を信じて相手を蔑ろにする人には無理だし、貰った愛への感謝は態度で示そうという人には何でもできる
お人好しと呼ばれる人種だった私は、お人好しである事に疲れてしまった。感謝も情も薄い人間の世話を焼いても自分が擦り切れるだけである
私は、まずは自分を大事にしたいし、私を大事にしてくれる人たちに恩を返していきたい