「後悔」
あとはご飯を盛るだけ、炊飯器をぱかっとあける
少量のご飯がホカホカと湯気をたてている
焚き忘れだ。明らかに足りない
深い後悔と絶望感
私たちはいつご飯を食べられるんだ…。おかずは出揃っているんだぞ
子供「ごはんまだー?」
すぐ用意するわね!と言いつつ、早焚きでも20分…。本当にごめん
「風に身をまかせ」
私の生家は坂の上にあった
町外れの坂の上
中学に上がり、通学には自転車が必要になった
登校は坂を一気に降る。山から降りてくる追い風に背中を押され、更に加速する
見晴らしのいい田園風景の中を、車の心配もなく私はひたすら自転車を加速させた
下校はひたすら坂を登る。田んぼだらけで日陰はなく、登校中は最高の相棒だった自転車はこの時ばかりは重い荷物だ。朝はあんなに背中を押してくれた風もなぜか止んでいた
行きは20分、帰りは40分
「失われた時間」
幼い我が子を見ていると、この幼少期という時間を自分はもう経験できないのかと時折思う
当時は毎日が新鮮でキラキラとしていて単純に楽しかったように思う。もう殆ど覚えていないが、今思えば幸福で貴重な経験だったような気がする
我が子たちは今そういう時期なのかと思うと羨ましくもあり、そんな子供たちを見守る今の時間もとても貴重で尊い時間のように思える
「子供のままで」
中学で仲良くなった友人がいた。同じ高校に進学し、よく一緒にいた
良く言えば変わり者、悪く言えばクソガキという感じの子だった。高校生のときの彼女の印象は“小学生男児”である
他人の悪口が好きな人だった。極力その話にならないように共通の趣味の話題を振り、自分の事を言われたら極力言い返す。他人の悪口には極力乗らない。自分なりに上手く付き合ってきたつもりだ。高校のときは他に友人が殆ど居なかったし、彼女に誘われて入った委員会は楽しい場所だったため離れる事もなかった。私の性格がぽわんとしてたから付き合えたのもあるのかもしれないが…。まあ私も世間知らずの子供だったのは否定しない
卒業してからもたまに連絡をとっていたが、それは突然きた
「もうコイツには付き合いきれない」
私は少しずつフェードアウトし、数年かけて縁を切った。もう彼女から連絡は来ない
その後の話、
高校時代の数少ない友人と会う機会があった。彼女の話になったとき、友人も彼女とはもう距離を置いていると言っていた
私は高校を卒業しても変わらない、精神的に幼い友人に諦めと呆れを感じて縁を切った。いつか大人になってくれると期待した私が馬鹿だった。いつまでも付き合ってやる程の義理はない。彼女を嫌いになった訳ではないが、私は疲れてしまった
きっと友人も彼女に対して色々思うところがあったんだろう
いつまでも子供のままでいる事の代償は大きい。そう思う出来事だった
「愛を叫ぶ。」
私は声が小さい事に定評があるので、叫んだつもりでもそうでもなかったかもしれない
たまに焦ると声のボリュームが上がっているのか「そんな事で怒るなよ〜」と言われる。心外である
愛を叫ぶような情熱的な性格ではないけれど、子どもが外で勝手に走り出したときは自分でもびっくりするくらい大きな声が出る。危ないからな…
止まれ!で止まってくれる子で良かったなと思う