NoName,

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5/10/2024, 4:50:25 AM

何でまた急に?昔話よ?
あれはね、おばあちゃんが女学生だった頃、そう、今のあなたくらいね。

私、乳癌にかかってしまってね。
その時受けた手術のお陰で再発もなくてこの歳まで生きてこれたんだけど。
あの時は若かったし、癌に気付くのが遅くてね、片方の胸を切除するしかないってお医者さんに言われて。

セカンドオピニオン?ないわよそんなの。
絶望したわ。おっぱいをとっちゃうだなんて、もうお嫁さんにはなれないし、恋愛もしたことないのにってずっと泣いてたの。

そうしたら様子のおかしい私に、近所の若いお兄さんが「どうしたの?」って声をかけてくれてね。
顔見知りではあったんだけど、あまりよく知らない人だったのに、優しい顔を見たら涙が止まらなくて、思いきって全部、本当に全部話したの。勢いで一生のお願いもしたわけ。当時女の人から言うなんて本当にはしたないことをね。

そうしたら最初はびっくりしてたけど「僕でいいの?」って言ってくれてね。
何て言えばいいかしら?その初めて「した」のよ。
あらやだ、あー今のは聞かなかったことにして?
孫にする話じゃないわね。

そのあとすぐ手術を受けて。退院して家に戻ってしばらくしたら、その人が「胸の傷を見せてくれ」って言ってきたの。
泣いて嫌だって言ったら、服の上から私の無くなった方の胸に優しく手をふれて、突然「僕が大学を卒業したら結婚しよう」って言うのよ。
今度は私がびっくりしちゃってね。
「こんな体の私でいいの?」って聞いたら、抱きしめてくれて。どんな人かは初めての時に私を大事にしてくれたからよくわかったの。
あの時のおじいちゃんの力強さ、忘れられないのよ。きっと私がボケたとしても、あの時のことは忘れないと思う。

そう言って祖母は少し頬を染めて、仏壇の祖父の写真を見つめた。



お題「忘れられない、いつまでも」

5/9/2024, 1:00:21 AM

終わった。
初めての告白だった。
理由をいくつか言われた。
振った人間にダメ出しするなんて。
ぼくは校舎の裏で1人、泣きそうになるのを我慢していた。

終わったんだ……よな。

ん?あの理由を全部クリアしたら?
そうだ、身長とか顔とか自分ではどうしようもないことは何も言われてない。それにあれ?君は僕のことをよく見てくれている?

どうやら僕は君に関しては諦めが悪いらしい。

君に言われたことを1つ1つ思い出してみる。
寝癖はちゃんと梳かす。ニキビを減らすよう清潔にする。ひげも毎日剃る。遅刻をしない。
猫背をなおして筋肉つけて制服をかっこよく着こなす。
スマホゲームをほどほどにして、君を目標に学年の成績順位をあげる。
友達に優しくする。
何でも面倒くさいって後回しにしない。


そうだ、あちこち欠けてる僕を君が好きになるわけがない。
よし!さっそく筋トレ始めて勉強もするぞ。
後回しにはできない、最優先課題だ。
自分に自信をつけて、1年後にもう1度告白しよう。僕は心に誓った。


けれど…

どうかお願い。
僕の大好きな君よ、頑張る僕を見守って。
そして他の誰のものにもならないで。



お題「一年後」

5/8/2024, 12:01:14 AM

私のお姫様の発言に、咄嗟に口をついて出てきたのは「そんなどこの馬の骨とも…」だった。

絶句した私を、妻は爆笑した。
涙を流して笑いながら「いや、だってアヤはまだ幼稚園児よ?それにだいちゅきよ?大好きじゃなくってだいちゅき。あははは、あー苦しい、ウケる」


「馬の骨」発言は、今爆笑している女性の両親に結婚を申しこみに行った時、後に義父となる人が私に放った言葉だ。
馬の骨につづく言葉を聞きながら、馬の骨の言葉の意味はわからなかったが強く反対しているのはわかった。
彼女の家からの帰り道、馬の骨をググった。
その後何回か彼女の家に行って、承諾を得た。
一連の馬の骨発言は昭和の父親の特権だということも後に知った。

あれからもう6年か。

それにしたって!
まさか自分のロからあの言葉を吐く日が来るとは…。

お姫様、パパは認めないぞ。
今度幼稚園にお迎えに行って、その子の顔を見るまでは、可愛い初恋だなんて絶対に認めないんだからな。パパ泣いちゃうぞ。

私の心を読んだかのように、まだ妻が笑い転げていた。




お題「初恋の日」
(ちなみに10月30日が初恋の日になってるようです)

5/7/2024, 3:48:42 AM

明日世界が終わるというのを、
明日地球が砕け散るということだと仮定するなら
どうしようもないし、どこにも逃げられないし、何も叫ばないし何も伝えない。
何もしないだろう。

今、地球上にある何機あるかもわからない宇宙船に万がー乗れたとして、帰る場所はないし、地球が砕け散るくらいの爆発なら月も無事ですむわけがない。
破壊的な引力が発生して一度は飛び出した船も引き戻されるだろう。
ま、残すべき頭脳を持っているわけではない庶民がそんな宇宙船に乗れるわけないけれど。



お題「明日世界が終わるなら」



5/6/2024, 4:50:38 AM

君が欲しくて欲しくてたまらなかった。
高校合格が決まって数日後、とうとう君を手に入れた。嬉しさと興奮で鼻血が出たよ。

君と出逢ってからの毎日は素晴らしいものだった。
朝は君が起こしてくれるし、知りたいことは何でも教えてくれた。思春期の僕のちょっとHなリクエストにもこたえてくれた。
学校にも遊びにも知らない土地への旅行にも、どこへ行くのも必ず一緒。数週間後には、すっかり君なしではダメになった。

けれど何だかおかしいんだ。
君は「こんなのはどう?」とランチやゲームや買い物も、僕の趣味嗜好をかなり把握して勧めてくるし、僕にくる連絡をその都度鬱陶しいくらいに知らせてくる。どこにいても何をしていても、トイレだろうがお風呂だろうがお構いなしだ。
君なしでは生きられない上に、完全に支配されてるようだよ。

スマホ君。







お題「君と出逢って」

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