〈お題:羅針盤〉(複数人との合作
君を想う。
それまでの私の目に映る光景に君が現れるまで、無機物が世界の中心だった。
グルグルまわる羅針、その先が定まらない恐怖が瞳を覆う。
寝室の扉を閉める。
高鳴る鼓動。月の光が胸を刺す。
目に映る全てが眩くて。
君が転校してきた時から幾度となく考えてきた。君の自由な振る舞いが私には輝いてみえた。君に会いたい。君は今、何をしているのだろう。きっと寝ているのかな、どんな夢を見てるの。
未来を描いた先に君がいる方角を探しているよ。もう当てにならないけれど、それでも私は君と歩みたい。月が綺麗だなぁ…。
あぁ、ふクロウが鳴いている。
〈お題:明日に向かって歩く、でも〉
私の場合、寝たら治る。
嫌な事があっても、大抵寝たら治る。
睡眠の質は誇れるほど高くはないが、それでも寝れば大抵はその日の朝を迎えられる。
だから、嫌な事があったらふて寝します。
でも、朝起きて昨日の事を引き摺っていたら?
そりなぁ…弱ったなぁ。
少し脱線するわ。
心の私が言いたい事を言います。
いつもの私なんて、今日の私が決める事。
過去の私の積み重ねも大切よ?
でもねぇ…他の誰でも無い自分が文句を言わなけりゃ過去の研鑽に終止符を打てるのよ。
過去の私が惜しむなら、それは未来の私に一旦預けるの。今の私は引き摺って、未来の私に預ければいいのよ。
後から思えば…なんて後悔をするかも?
過去の私が過去から学ばなかったこと。
今の私なら学べるんじゃないかしら?
取り返し、つくんでしょ?
なら、未来の私と相談しながら決めなさい。
閑話休題。
そしたら今日もふて寝します。
〈お題:ただひとりの君へ〉
おはよう。こんにちは。こんばんは。
お元気ですか?もしかして体調不良ですか?
心の具合は如何ですか?
私は元気です。なぜなら、最後まで読んでくれる君がいてくれるから。
アナタはここまで私の文章を読み進めてくれている稀有な人だ。ありがとう。とても嬉しいよ。
だから此処から先は…君がもっと特別でスペシャルな人になってほしい。
私ことナナシナムメイから一個だけお願いがあります。以下の「」の中のセリフを読み上げてみてください。
「今日はありがとう」
(こちらこそ声を出してくれてありがとう!)
「今日もありがとう」
(声を上げてくれたアナタにこそ、私が言いたい!今日もありがとう!)
「ふっ…元気ですよ」
(もっともっと感情こめて!…え、充分感情がこもってる?ふっ…棒読み気味だったような…)
「ナナシナムメイさん、私はやり遂げました」
(なんと素晴らしい…。アナタの声を聞けない事が私の悩みです笑)
アナタは私にとって、今この瞬間…とても特別な人になりました。
そうです。
アナタは此処に辿り着いたばかりか、一つのお願い…スペシャルなミッションを完遂した特別な人です。誰がなんと言おうとこの瞬間だけは絶対に私の特別な人です。
「ただひとりの君へ。愛を込めて」
〈お題:風のいたずら〉
眠いのは、誰?
そよかぜに撫でられる。窓からゆったりと。
今日もよろしくお願いします。
永い瞬きを終えて風の行く末に目を向ける。
風は未完の原稿用紙を散らして歩く。
終わってないことを咎めているようだ。
風が部屋を物色するのを僕?私…は深呼吸で受け入れる。どうぞ散らしてください…と。
部屋の常連さん。少しお転婆な常連さんだ。
私に?僕に冷たいけれど、来てくれると空気が変わる。文字通り。年中その日の熱を帯びてくる。外の荒波をも超えて、僕?私に逢いにくる。
流石に今日はお終いだ。
ぶるんっと震えた身を乗り出して窓を閉める。
ばざぁー。
別れの瀬戸際、積まれた原稿が地に落ちた。
〈お題:透明な涙〉
泣き腫らした目がすっかり面影を失って、いつもの調子で彼を見つめる。
彼の涙は私には見えない。
人前で泣いた事もない。いつだって笑顔を振りまいている。
私には彼の心の内はわからない。
彼を想って泣いてみれど、彼はいつだって戯けて見せる。
ピエロの涙はとても赤い。
イジメを笑って受け入れる。そんな彼の"本当の姿"を幻視する。赤い髪がとても似合うもの。
ファンシーな気分。
彼は本当は、もっと素敵な人に違いないもの。
そんなことを想って夜風を浴びる。
彼の見えない涙の数が静かな夜空に流れて消える。