〈お題:上手くいかなくたっていい〉ー評価:凡作
全てが全て上手くなんていかないの。
運要素が絡んだ人生だから計算通りには行かないものだ。
人が温もりを知るには、へたっぴなくらいがちょうどいい。下手なほうが却って人生を豊かにしてくれる。
人生に刺激を齎すのはいつだって挑戦と失敗とそれを共有してくれる人物である。
「実はね、心を豊かに保つのは非常に難しいのよ…?失敗して、苦労して、不幸になって、やがて時が立てば少しは報われる」
「青空に両手を広げて宇宙を抱き抱えてごらんなさい。取りこぼした分だけ可能性が残っているのよ」
成功は終着点で、達成感は感情の行き着く先で。上手くいったらそれで終わってしまうから。人生は、上手く行かないほうが楽しくて、悲しくて、苦しくて、嬉しいことが時たまあって、それで少し報われる。色鮮やかよね。
アナタは少し"上手"に幻想を抱いているわね。
アナタの頭の上に乗っかるその手は、上手って褒めてその場に留めてくれているだけなのよ。
アナタは少し"下手"を誤解しているわね。
アナタの下にあるその手は、アナタのことを少しずつ高みに押し上げてくれるのよ。
それでもアナタがしゃがみ込んでしまったら、下の手はアナタを心配してすぐに地面に降ろすのだわ。下の手はアナタが無理をしてるんじゃないかって、少し過保護だから…無理は禁物だって。
だからね、下手を嫌悪したら人生は楽しくならないし、困っちゃうわ。
ね?下手を認めてあげなくちゃ!!
「合言葉は、上手くいかなくたっていい」
〈お題:蝶よ花よ〉ー評価:良作
飛び跳ねる蝶の美しさに惑わされると、その突飛な身振りを咎める人はないように。
花の慎ましやかな見た目に惑わされては、その根が悪性であることを知る人はないように。
私は私である為に人を惑わす術を持たない人である。学習を軽視した私の浅はかな理想は現実を知らないが故。理想が絵空事に等しき妄言となったのは、一重に自己を知った後も変わらず学習を軽視したからである。
蜜も吸えぬ、蜜も作れぬ私が蝶や花やと偽ってみても結局は蟻にすら見向きもされないオチである。
然りとて泣き喚いてみたとて、害虫駆除と変わらぬ心持ちで押し付けあって、可哀想な人が私を泣き止ませに走るのだろう。
涙すら通じぬ私の要求が罷り通らないのは、蝶でも花でも私が成れなかった、とそれだけのことであった。
〈お題:明日、もし晴れたら〉
1、修正対象…。
〈お題:澄んだ瞳〉ー評価:良作
言葉に囚われた瞳はインクが澱んでいる。
「僕の瞳は、墨汁の様な黒目です」
僕は自己紹介をしてみた。
すると、そいつは生意気な事を口走った。
『僕からすれば、みんな白濁した目をしている。』僕の事を否定するのは、紙の中の子。
滲み出たインクによって構成されているその子はとても不細工であった。
その子を構成する骨組みが歪んでいるのが原因である。そのくせ、肉付きが良いので、本当に可愛くない。
その子に名前を与えてやる。
「君の名前はヒズミだ」
暫くすると、ヒズミは文句を言った。
『俺はお前と名を好かない』
僕の涙ぐましさを返してほしい。
「消されたく無かったらいい子になろうな」
僕の忠告を受けて、ヒズミを構成するインクは濁流の如く漏れ出した。
『別に消されるのは構わないが、何故お前に脅されなくてはならない。お前が俺の育て方を間違えたのだ!名は体を表すとはよく言ったモノだ!』
ヒズミに睨まれた。僕の脅しを突っぱねて名付けにまで文句を言う。心意気はあるようだ。
その文字列に僕は活き活きとした何かを感じ取っている。ヒズミに目があればどんな風なのだろう。きっと、吊り目で白濁した汚い目に違いない。そう思っていると突然、筆が止まった。
『僕にはどうも、産まれたばかりの彼は、相手の態度しか知らない、無知な子なので憎めない。与えられた言葉をひたすらに溜め込んでいる。まさにヒズミは原石である。』
僕は文章を書く時、心にもない事を書いてしまうようだ。
「全部消してやろう」
『…』
「……」
『消さないのか』
肉を削ぎ落とした彼は衰弱しているが、名残深い白紙はとても澄んでいる。
「消すさ」
言葉が囚われた瞳はインクで澱んでいる。
〈お題:神様が舞い降りてきて、こう言った〉
ー評価:駄作
とある人類が神へ問うた。
「神と私の差は何なのでしょうか」
なんと天使が舞い降りて、こう言った。
「神は君たち人類と比べるべくもない」
人類は感嘆する!
「なんと!天使は存在しておりましたか!神様は天使様の空想する概念でしょうか!」
そこに、神様が舞い降りて、こう言った。
「…我々神を疑うのは、本当におやめください。誠心誠意、願いを叶えております。」
人類はこの時、神を疑うのを辞めた。
そして、人類はひたすらに神様を崇め立てて、欲求を要求するようになったのである。
神様は感嘆する。