枝守

Open App
10/5/2024, 12:03:58 PM

星座

「星座みたい」
万華鏡をくるくる回しながらそう言った彼女

「なんでそう思うの?」と聞くと、
「え?だってそう見えるから まーくんには見えない?」と

万華鏡をくるくる回しながら言った



どんぐりを沢山集めて、これで机つくるんだと言ったり
ツリーの飾りで使った松ぼっくりを繋げて、汽車と言った

まあちょこっとずれているだけなのだが、周りには彼女が異端児に見えるようだった ぼくはそんな彼女が大好きだ






「ぼくにも星座が見えるよ」


ぼくがそう言うと万華鏡から目を離し、「いっしょだね」
とにこにこしながら言った やっぱり好きだなあ

10/4/2024, 1:57:51 PM

踊りませんか?


斜陽が優しく左頬をさす
まるでピアノ椅子に座る私にスポットライトを当てるようだ

ぽろん。

心の空気感を読むように柔らかい音が、音楽室に響く
最近のブームであるワルツを足場を確かめるように奏でる

穏やかな世界に新たな光を差すように、かなちゃんが視界の端からひょこっと現れた





「踊ってもいい?」





スポットライトを浴びた彼女がそう言うと、私は手を止めることなく目線だけでいいよ、と言った

心地よくワルツのリズムを刻む私と、それに合わせて彼女が好きなバレエを踊るかなちゃん




その空間は間違いなく2人だけの世界で。


言葉を交わすことなく2人は、この手を離さないことを誓った。

10/3/2024, 11:20:51 PM

巡り会えたら

君と僕の髪が風でなびく。
2人の間には初対面の間柄のような、親しい仲のような空気感が漂う。


じゃあね、と互いの心に伝えあって


またいつか巡り会えたら

10/2/2024, 11:56:39 AM

奇跡をもう一度


君の笑顔がなくなってからもう2年が経つ。


小さい頃は泣いてばかりだった君が、いつの間にか貼り付けたような笑顔ばかりを見せるようになった。
たまに陰る顔を見て、僕まで辛くなったりもした






君を、すくってあげたかった






全身血まみれの君を抱き抱えた時、徐々に冷えていく身体に僕まで冷えていくようだった
周りの喧騒すら聞こえず、君の細い息の音が僕を包んだ。


君の笑顔がなくなってからもう2年が経つ。
僕は君をすくう奇跡を願い続けている。

10/1/2024, 10:25:31 AM

たそがれ

日が落ちるスピードが増すこんにち
ぼくはそのスピードについて行けるだろうか




駅のホームで彼女を待つぼくは、思わず目を奪われた
たそがれにスマホのレンズを向けた


「見て!めっちゃきれい!!」

と送信した数秒後、


こっちからも見えるよ


と声が聞こえた気がした

Next