あの日の温もり
温かい…温かい…
心地よい温かさの中で
心地よい微睡みの中で
見ていた心地よい夢
皆で一緒に鬼ごっこした夢
皆で一緒に駄菓子屋に行った夢
皆で一緒にゲームをした夢
皆で一緒に屋台を巡った夢
今思い返してみても心地よい夢だった
何故だろうか
ここ最近はそんな夢を見ることもなくなった
あの温もりの中でこそ見ることが出来た夢
ここ最近はあの温もりを感じる時間もなくなった
もし、またあの日の温もりの中に戻れたなら
また見れるのかな
夢のような
心地よい思い出たち
あの日々に戻れる日は来るのだろうか
「お前は私にとっての日陰であって欲しい」
まだ子供っぽさが抜けない僕たちが語るのは
子供にはまだ気の遠くなるほど未来の話
高校に行って、大学に行って、社会人になって、定年を迎えて、おじいちゃんとおばあちゃんになった時の
そんな気の遠くなるほど未来の話
いつまでも、お前には野外体育での
日陰のような存在であって欲しい
高校で勉学に嫌気がさした時は
一緒に勉強したり、サボってゲームしたり
大学で就職に悩んだときは
就職先を吟味しながら愚痴を言い合ったり
社会に出て嫌なことがあった時は
居酒屋で酒を飲みながら語り明かしたり
ジジイとババアになったら
天気のいい日にお茶を啜り合うような
長く走って疲れた時に
立ち止まり疲れを癒してくれるような
日陰のような存在であって欲しい
そんな子供のように楽天的な願いを君は口に出す
「うん」と僕は返す
「いつまでも日陰であり続けるよ」と返す
君に恋い焦がれる僕は
君の望むその関係性が
僕の望む関係性とは
違うことを知りながら
君と寄り添い続ける木でありたかった僕は
君に日陰を与える木であり続けることを誓う
そんな幼稚な約束事から八年
共に寄り添い続ける木を見つけた君が
走り疲れて日陰を求める日を今でも待ち続ける
僕の内の恋心は、地の根の深くに埋めたまま
掘り起こされることは無いだろうと知りながら
優しい嘘
「あなたならできる」
優しい嘘
「あなたは優秀」
優しい嘘
「あなたが適任」
そんな優しい嘘で後押しするなら
厳しい事実
「優柔不断」
厳しい事実
「無能」
厳しい事実
「あなたに任せなきゃ良かった」
そんな厳しい事実で足を止めさせないで
私の足跡を厳しい事実で埋めないで
私の挑戦を否定しないで
優しい嘘で後押しするなら
優しい嘘をかけ続けてよ
優しい嘘を見せ続けてよ
そんな甘えを許してよ
どうか最後まで優しい嘘で包んでよ
街の夜景に映る光それぞれが人の存在を示す
車のライトとかビルの明かりとか
その光がそれぞれ人の存在を示していて面白い
でも光がない場所にも人は存在する
それがまるで自分の将来のようで怖くなる
生きている痕跡がないのに生きている人
傍から見て生きているか分からない人
そんな将来を考えてしまう
ただの夜景
視界いっぱいに光がきらめいていて
綺麗な夜景
そんな夜景に
こんな雑音が入るようになったのは
いつからだろう
視点が変われば見える景色も変わるというのは本当だ
綺麗で面白いことが溢れているそんな夜景も
視点が変われば
どこか怖くて不安が溢れているように見えるのだから
もう一度
家族で一緒に見たキラキラした街の夜景を
見てみたい
ごめんね
無能でごめんね
役立たずでごめんね
人の気持ちが考えられなくてごめんね
空気が読めなくてごめんね
鈍感でごめんね
厚かましくてごめんね
図々しくてごめんね
謝ってばかりでごめんね
迷惑ばっかかけてるのに
みんなの前から消える勇気もなくてごめんね
なんて弱音を吐いたらみんなは許してくれるのかな
みんなは助けてくれるのかな
みんなは優しい言葉をかけてくれるのかな
そんな優しいはずのみんなに怯えながら
今日も弱音を隠しながら生きるよ
隠し事ばかりでごめんね
臆病でごめんね
みんなを信じられなくてごめんね
人間としてどこかが欠落しててごめんね
あと1年は取り繕ってみせるから
その時が来るまでは普通の人間でいてみせるから
だから
あと1年いっぱい迷惑をかけることになるだろうけど
ごめんね