「お前は私にとっての日陰であって欲しい」
まだ子供っぽさが抜けない僕たちが語るのは
子供にはまだ気の遠くなるほど未来の話
高校に行って、大学に行って、社会人になって、定年を迎えて、おじいちゃんとおばあちゃんになった時の
そんな気の遠くなるほど未来の話
いつまでも、お前には野外体育での
日陰のような存在であって欲しい
高校で勉学に嫌気がさした時は
一緒に勉強したり、サボってゲームしたり
大学で就職に悩んだときは
就職先を吟味しながら愚痴を言い合ったり
社会に出て嫌なことがあった時は
居酒屋で酒を飲みながら語り明かしたり
ジジイとババアになったら
天気のいい日にお茶を啜り合うような
長く走って疲れた時に
立ち止まり疲れを癒してくれるような
日陰のような存在であって欲しい
そんな子供のように楽天的な願いを君は口に出す
「うん」と僕は返す
「いつまでも日陰であり続けるよ」と返す
君に恋い焦がれる僕は
君の望むその関係性が
僕の望む関係性とは
違うことを知りながら
君と寄り添い続ける木でありたかった僕は
君に日陰を与える木であり続けることを誓う
そんな幼稚な約束事から八年
共に寄り添い続ける木を見つけた君が
走り疲れて日陰を求める日を今でも待ち続ける
僕の内の恋心は、地の根の深くに埋めたまま
掘り起こされることは無いだろうと知りながら
1/29/2025, 3:03:12 PM