須藤 東

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4/2/2025, 11:10:25 AM

「君を想って書いたバラード」

「空に向かって」という歌を
きみのためにつくったんだよ
歌うことが好きだった
君を思って書いたんだ
歌詞の
(眩しいひかりペルセウス)
それが君
歌っていると
五線譜の向こうに君が見えてくる
私は歌っている時にだけ
遠くの君と近くで会える
だからこの歌は この魔法は
とても大切にしているんだよ
だけど五線譜の向こうの君は
何度歌っても
私の告白を両手で返してくれた後の
暗い君

3/31/2025, 10:22:38 AM

「愛してる」

君に贈るいろんな色の
またね!をつくったよ
だけど時間が経つと
ぜんぶ名の無い色の
「愛してる」になった

3/29/2025, 10:34:14 AM

『Good bay』

思い出はもう
一言くらいに
とどめておいて
小さな紙に
記しておいて
私たちの中にあるでしょう
涙がつくった砂時計に
二つ折にして入れておく
時が経って
思い出したら
朝と夜を
さかさまにして
茫洋な明日を眺めましょう
そのとき砂の滴る潮の音が
私たちの思い出を
すこしずつでも
渫(さら)っていくと思うから
時が経っても
思い出すことがないのなら
私たちは
生きていけると思うから

3/28/2025, 10:46:01 AM

『猫』

南に向かって大きく
欠伸をしていた君が
私に気が向いたのか
気怠るげに寄ってきて
真っ白な毛並みの揃う
靱やかな体を
私の足に触れさせた
懐いてはくれているみたい
だけどいつも一緒にいるのに
君が本当に幸せなのか
もっときれいな幸せを描いているのか
人である私にはわかってあげられない
だから今日も君の小さな頭と
ミツバチのような小さな耳
それから背中まで撫でてあげる
君が飽きたと立ち去るまで
生きてきていっぱい
頭を叩かれた私は今日も
撫でると蕩けて
甘いスライムになっている君を
今日も撫でてあげる
撫でてあげる

3/26/2025, 11:33:16 AM

「七色の惑星」

ナイジェリアの砂漠が
太陽に沸騰すれば
メキシコシティの唄歌いが
陽気に赤くギターでメロディを弾く
するとベトナムの密林に
にわか雨を呼ぶ
にわか雨は緑に広がりをもたせる
デリーのマゼンタの
インド更紗の笑顔の女性
地球は青い惑星でなく七色に輝く惑星
ラスベガスの今宵も高鳴る熱気が
最低気温を上昇させるなら
黄色のライトアップは星屑なんて
いらないくらいに夜空を飾る
夜明けまえの空は覚める前の夢と
同じ色をした紺碧
吹き抜けていく潮風を追うように
明日が昇ってくる
明日はこの惑星に充分なひかりを与える
うん。きっと心も染まる
青色だ日本海


『羽』

青い空の色を湛(たた)えた
羽が生えた
空を飛べるわけじゃない
風に乗れるわけじゃない
ちょっと歩幅が大きくなるだけ
それはほんの少し
君にも羽が生えている
ぼくとは違う
それはぼくより速そうな
飾り羽があって
太陽に君の羽を透かすと
かすかな虹色
それが少し切なくて
ほんの少し
だから
ここでお別れ

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