居酒屋バイト歴1年くらい
人員不足、機械故障でクレーム対応に追われてた時、謝りすぎて心が完全に疲れてた。
でも切り替えて笑顔でオーダーを取った。
レジでお客様に
「楽しそうにお仕事されますね。明日も頑張れそうです。」
申し訳ございませんと困り顔してばっかりだったのに、そんな言葉をかけていただけたことが何よりの励みだった。
なんというか
ひとひらの桜みたいな言葉だった。
言葉は生物だから散っていってしまうけれど、その一言だけは私の心に映り込んだ。去年の桜を忘れないみたいに、この言葉はきっと忘れられないものになる。
誰かの明日の希望になれたこと。接客だけで、私が笑顔でいることで、名前も知らないその人の明日に関われたこと。
私もこう言える人になりたい。
君が苦しいのはね、
今日までずっと頑張ってきたからだよ。
苦しいね、辛いね
その気持ちのままでいいから
どうか今この時を
なんとか息をしてやり過ごしてほしい。
僕はね
がんばり屋さんで、外ではしっかりしてるのに、
ほんとは弱くて泣き虫で甘えたな君を
支えたい。
体はそばにいることはできなくても、
心は今日も生きててくれたきみの隣に。
道に咲く小さな花を
踏んでしまわないように歩く人が
レジで目を合わせて
ありがとうって微笑む人が
相合傘をさして
自分がたくさん濡れてしまう人が
どうかそれ以上の大きな温もりに包まれますように。
小さな勇気や優しさをたくさん配る人が
その影に隠れてしまわない世界でありますように。
私は大人の鎧を着た少女のまま二十歳を迎えた。
関わる人から発される「真面目」「いい子」「優しい」そんな褒め言葉たちが幼い私を大人びさせた。
そんな私だからいいんだ、そんな私を求めているんだ、そう思い込んで、
思いっきり全力で、
未熟な頭を精一杯回転させて、
演じた。
幼いわたしはついに誰にも見つけてもらえないまま、
鎧の中に姿を隠したまま、
二十歳を迎えた。
この鎧を脱がせて欲しかった、
全部ありのままの私を認めて欲しかった、
ただそれだけ。
本当の私はずっとここにいるのに。
願いが1つ叶うなら、本当の私を見つけて抱きしめて。
本当の私。
弱くてずるくてだめな私を
隠して生きてる。
強くて真面目でしっかり者の私。
私は私を演じてる。
とびきりの大女優。
作った笑顔がどんどん顔に馴染んでいく。
我慢した涙が心の傷を疼かせる。
巷で私の演技は大絶賛されるから
“私役”の私は
これからも第一線で輝き続ける。