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8/24/2023, 11:38:28 AM

やるせない気持ち


 最近何もしたくなくて、ダラダラ過ごしてます。

 もうすぐ夏休みも終わるのに、勉強もそこまでしてなくて。

 やらなきゃいけないのに、サボってしまうと後悔するのは自分でもよく分からない。

「疲れてるんじゃないの?」と言われることがあるけど、別に体はピンピンしてるしどうってことなくて、でも、その時少しだけ、息苦しくなる。

 自分のことを分かっていなきゃいけないのに、自分は頭が冴えてないのでまだ分からないことばかりです。

 もう少し素直な心を持ちたいです。

 分からないこと書いてすみません。

8/23/2023, 12:04:12 PM

海へ
 
人魚の男の子と女の子の話。

「ひぇ?!」

 大きな砂のお城を作ろうとしたら、砂浜に誰かが倒れていた。けれど、足がなくてその代わり尾鰭がついていた。所謂、この人は人魚だった。

 ほ、本物‥なんだよね? 

 けれど足部分を見て、私はそんな疑いの気持ちが消え去る。

「あ、この人怪我してる‥!」

 私は"ちょっと待ってて"と伝えて急いで救急箱を取りに行った。砂浜に戻り、消毒液等の道具を取り出して痛々しい傷の治療を行った。

「わぁ‥‥この人顔が綺麗だなぁ‥」
 
 私と同い年くらいの顔立ちだと感じたが、明らかに人間から産み出されたとは思えないくらい美しかった。原石を超えて、もう宝石のようだった。

「ん‥んん!」
「わっ、お、起きたっ‥!!」

 人魚の顔に見惚れていると、突然動き出し私は驚いてしまい思わず声を漏らしてしまった。人魚の男の子は私を見るなり目を見開いて、何がボソリと呟いていた。

「◯△×◇‥?!」
「あ、え、えっと‥」

 何を言っているか分からず、と言うより喋る言語自体ここの国の言葉ではなく理解することが出来なかった。彼が口を開く度、私の頭の中には不思議でいっぱいだった。
 すると、海の方からチャプンと波の音が聞こえた。その方向を見ると、女性が肩らへんまで海面から顔を出してこちらに見つめていた。どうやらその女性も同じ人魚であるらしく、男の子は彼女を見てあちらに向かおうとしていたが、私の姿を見て気遣っているのか少し困った様子になっていた。

「私のことは大丈夫だよ! 貴方が無事に帰れるなら! 兎に角無事で良かった!」

 私の言葉の意味など分からないかもしれないが、取り敢えず言いたい事を伝える。すると、何を思ったのか人魚の男の子は私をぎゅうっと抱きしめた。

「っへぇ?!」

 一体何が起きているか分からず、空いている手をどこにやったらいいか慌ててしまった。そして、男の子は私の顔を見てそっと頬にキスをした。

 ボフンっと私の顔は真っ赤に染まり更にパニックになった。その様子を見て男の子はクスクスと笑っていった。優しい表情を浮かべている彼にドキリと胸が高鳴った。
 それから、男の子は海の中にゆっくり入っていった。

「気を付けてね!!」
 
 私が大きな声でそう言うと男の子は振り返って、大きく手を振った。人魚の男の子は女性の方に向かいそのまま海の中へと潜っていった。

 


  













8/22/2023, 12:27:56 PM

裏返し
※空模様に出てくる主人公がいます。もし良ければ、そちらも見てくれると嬉しいです。

「あれ? カードが落ちてる」

 学校帰りの途中で、一枚のカードを拾った。トランプカードかなと最初は思ったが、至って柄はなくシンプルな長方形のカードだった。

 何となく裏返してみるとそこには‥

『君はこの世界の出来事が全て現実だって思ってる?』

と文字が書かれていた。

「なに‥これ?」

 今起きていることが全て、リアルじゃなければ何だって言うのか。それとも、夢だとでも言いたいのか。

 僕は試しに頬を思い切り摘んだ。神経が摘まれている所に集中し、痛みが増す。耐えられず僕はその指を離した。ジンジンと刺激し、見なくても腫れているのは間違いない。

「あれ、また落ちてる‥」

 目の前に再び、先程と同じカードが一枚落ちていた。僕は難なくそれを拾い上げ、裏返した。

『例えば、君の空想世界が現実に変わったらどうする?』

「どうするって言われても‥‥それはそれで、嬉しいかな」

 するとまた、目の前に同じカードが。僕は何も考えずに拾い上げる。

『なら、妄想全てが現実になればいいってこと?』

「まぁ、望んでいることなら叶ったら嬉しいだろうな」

 そして再び歩くと、また同じカードが一枚。

『じゃあ、これは?』

「これ?」

 カードを何枚も拾っていくうちに気がつくと僕は見慣れない街を歩いてしまっていたみたいだった。

 しまった。拾うのに夢中になって、寄り道をしてしまった。どうしよう。これは、帰るのが遅くなるな。

 僕は拾った何枚かのカードを見つめる。誰とも会話をしてないのに、まるで自分の独り言が誰かに聞こえてるみたいで妙な気分だ。そのせいでか、札に書かれた内容も会話のキャッチボールを返すかのように自然と続いた。

 カンカンカン。 甲高い音が僕の耳に鳴り響く。ふと、顔を上げると数十メートル先に踏み切りがあった。警報用スピーカーの音がカンカンカンと、電車が来るのを合図している。
 遮断桿も徐々に下がり、歩行者を通らせないように阻止している。が、しかし、そうはいかなかった。

「あれ‥? 線路の中に、人が居る‥」

 遠くからではっきりとは見えないが、明らかに人の姿がそこに佇んでいた。何やらフラフラと歩いており、昼間から飲酒でもきて酔っているのだろうと僕は考える。
 だがしかし、そこで嫌な予感がした。

「待って、今そんな所にいたら‥!!」

 最悪な光景が脳裏に焼き付く。その瞬間、背筋がゾォっと寒気を起こし血の気が引くのが分かった。近くで、電車のサイレンが鳴る。

 あぁ‥!! まずい!!

「!」

 僕は思わず目を逸らした。

 電車は勢いよく走り去り、僕の目の前からいなくなる。途中、ガゴんと鈍い音が聞こえたのは気のせいと言いたい。が、その数十秒後。踏み切り辺りに人集りができた。

「そ、そんな‥‥」

 僕はここから動けず、呆然と立ち尽くしていると背の高い女性がこちらに向かって歩いてきた。ハイヒールの底を思い切り鳴らし、地面を蹴る音が心臓の鼓動と調和して更に体が震える。

 そして、僕の真横を通り過ぎる時。

「あんなやつ、居なくなって当然なのよ」

 女性は低い声で呟き、歩き去っていった。

「‥‥え?」

 今のって‥。

 ひらり。

 目の前に、誰が落としたか分からないカードが都合良く落ちる。僕はそれを恐る恐る拾い、裏返した。

『知ってるかい? 妄想が全て叶うと言うことは、みんなの願いが思い通りになるってこと。その裏を返せば、自分が消したい相手を消すことだって。ね?』




 
 

8/21/2023, 11:53:02 AM

鳥のように

 紙飛行機を作った。

 道端で拾ったチラシ紙のようなものを折って、折って出来た、なんちゃって飛行機。

 折り紙なんて久しぶりすぎて最初何作ろうかなって迷ったけれど、ふと頭に浮かんだのがそれ。
 でも、チラシ紙は妙に正方形じゃなくて、折るのに苦戦したから、折りやすいように折り目をつけて両平手で切り離した。

 大きい正方形一つと、小さい正方形二つ作って丁度だった。

「よし、出来たぞー!」

 下手くそながらも、よく出来たと思う。小さいのも折る作業は少し大きいのよりも大変だったが何とか完成した。三つ全て揃い、折角なので飛ばしてみようと見晴らしの良い原っぱがある公園に向かった。

「いっけぇー!!」

 まず最初に、小さい紙飛行機を二つ同時に飛ばした。風が弱いせいか、ふよふよ不安定に飛んで今まさに落ちそうだった。折り方を工夫するだけで、遠く飛ぶ方法があると聞いたことがあるが折り方が分からない。

「折角だし、デカいやつも飛ばすか。それー!」

 大きい紙飛行機は小さい方より低く飛んだ。あぁ、やっぱり上手く飛ばないなー。あとで、ネットで調べてみるか。そう思い、地面に落ちそうなそれらの後を追う。

 するとその時。

「はえ‥‥?!」

 先程から飛行が不安定だった紙飛行機が、突然、鳥のように、いや、青い鳥に変身し勢いよく風に乗って飛んだのだ。
 デカい紙飛行機が大きな青鳥に、小さいのが青い雛鳥に。目の前の光景に目を凝視させた。けれど、鳥達は気持ち良さそうに羽根を羽ばたかせ青空を飛び回っていった。

「元気でねー!!」

 鳥達に大きく手を振ると、自分の周りをグルグル回ったあと空高く飛び、姿が小さくなるまで見送った。

8/20/2023, 10:29:48 AM

さよならを言う前に

少年と村のお狐様のお話。


「僕ね、余命があと一ヶ月なんだ」
「は‥?」

 僕が笑ってそう言えば目の前の彼は心底信じられないような顔をしていた。そよ風が僕らの間を通り抜け落ちた葉っぱを乗せて彼方遠くまで吹いていった。

 去年の夏休みの間、僕は母の実家に泊まりに行った。何度か行ったことはあるが、都会暮らしの自分にとって田舎は世界観がガラリと変わり、見慣れないものばかりでワクワクしていた。そこの近くの人気のない神社で僕と彼は出会った。

 月のように綺麗な長い髪に、それに似合うフワフワの耳と尻尾。澄んだ海の瞳を持つその人はとても美しかった。
 彼はこの町を守る"お狐様"らしくずっとこの神社から離れていないのだそう。確かに人間とは思えないくらいの綺麗な顔立ちで、思わずぼんやりと見惚れてしまうほどだ。

 僕は暇な時はその神社に行って彼と話していた。彼は最初警戒していたが、次第に心を開いてくれて一週間もすればすっかり仲良くなった。

 夏休みが終わる頃、東京に帰る前に僕は例の神社に向かう。僕が帰らなくちゃいけないと言うと、彼は驚いたような顔をしていた。そしてすぐに悲しそうな表情を浮かべた。

「そうか‥」

 視線をずらして言う彼に僕は心が苦しくなった。

「でも、来年の夏! ここに来るから!! また君に会いに行くよ!」

 だから、一人じゃないよ。僕がそう言うと彼は目を見開きクスリと笑った。

「お前はいつも元気だなぁ。いつか、本当に遠くに行くんじゃないかと心配になるよ」
「そんな事ないよ! 僕ね、大人になったら此処に住もうと思って考えてるんだ。そしたら、いつでも会えるでしょ?」
「そうかそうか。それは頼もしいな。クフフ‥約束だぞ?」
「うん、約束!」




 目の前に居る痩せ細った人間は俺の顔を見て力のない笑みを見せた。一年前に出会った時とは全く違い、あの朗らかな雰囲気が今ではススキのように欠けてしまっている。

 余命が一ヶ月?
 
 最初、彼の言っている意味が分からず困惑してしまった。すると彼は「あのね」と小さな声を漏らした。

「帰ったあと、体調が悪くなっちゃってね。‥‥‥最初は風邪を拗らせたのかなって思ったんだけど一向に治らなくて。それで病院に行ったら、不治の病だったんだって」
「‥‥」
「不思議なんだよね。あと、一ヶ月で死ぬって言うのにどうしてこんなにピンピンしてるのかなって。それで思ったの」

 一拍置いて彼は言った。

「きっと君との最後のお別れの時間を神様が残してくれたんだって」

 あぁ、嘘だ。嘘だろう?
 嘘だと言ってくれよ。
 どうして、彼がこんな目に‥!

「泣かないで‥。でも、ごめんね。ずっと一緒にいるって、もう君を一人にしないって約束したのに‥‥」

 ゲホッゲホッ。
 彼が激しく咳き込み始める。

 元気だなんて嘘じゃないか。

 彼を怒ってやりたい気持ちと心配が重なり言葉に詰まる。俺はどうする事も出来ず、ただ、彼の細い背中を優しく摩る。前までは程よい肉付きの体格だったのが今では別人へと痩せ、華奢とは言えないくらい寂しい背中だ。

「‥‥ありがとう。君は、優しいね」
「なぁ、ナツカ。俺を一人にしないでくれ‥。俺は、お前を失ったら、一体どうしたら‥‥」

 彼—ナツカは「ふふ」と微かに微笑んだ。

「でも心配しないで。君は一人じゃないよ。僕のお婆ちゃんや近所のおじさんとか言ってたよ。君のこと。『この町には、心優しいお狐様が見守ってるんだよ』って。僕、その話を聞いてこの神社に来たの。そしたら、君に会えた」
「ナツカ‥‥」
「僕は君に会えて良かったよ。短い間だったけれど、もっと早く君に会えてたら良かったのにな‥‥」
 
 オレンジ色の空がナツカを照らす。日が暮れ、鴉の鳴き声が響き渡る。茶色く透き通ったナツカの髪の毛は橙色に染まりかけ不意にも綺麗だと思ってしまった。ナツカはふわりと笑った。

「君は‥いつ見ても美しいね。夕焼けに見る君は更に綺麗だなぁ」
「‥‥‥」
「いつか、生まれ変わったら会いに行くね。必ず‥絶対‥」

 そう言ってナツカは俺の髪を優しく撫でた。

 保証のない約束をしても意味がないと言うのに、俺はどうしてここまでになっても信じようとするのだろう。
 でも、確かにあったのは、

 信じたかったと言う最後の願いだけだった。

「じゃあ、また、明日来るね」
「あぁ。此処ら辺は夏でも夜は冷える、暖かくして寝ろよ」
「うん。君が言うならそうだね。じゃあ」

   
「さようなら」


 ナツカはそう言ってゆっくり神社の階段を降りていく。俺は彼の背中が小さくなるまで後ろから見ていた。

「さようなら‥‥。ナツカ」

 また明日、会おうな。

 でも、この夏が終わってしまえば。

 そしていつか、本当の本当に—————。

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