泣いてる人の姿は滑稽だ。
愚かで、身勝手で、情けない、無様な姿だ。
だから、人前では絶対に泣いてはいけない。
それが、私が泣くことを最も恐れている理由だ。
みんなが見るんだ。
鬱陶しそうに、興味深そうに、憐れんだ目で、見るんだ。
人は美しいものだけをみていればいいじゃないか。
空があって、星があってこの広い世界があるはずなのに。
なのに、なんで私を見るんだ。
大きさを競うものじゃないだろ、幸せって。
幸運も不運も、風のいたずら。
死ぬも生きるも、風のいたずら。
奇跡はたまに人を生かすけど、
多分何処かで、同じ数だけ殺してる。
そっと
「あなたに私の気持ちなんてわからない」
とか言われると黙れって言いたくなるけど、多分本心は
「私の感情を探らないでほしい。」
だと思う。
自分もよく、悲しみに浸って面倒くさい性格のときにこの思考に陥る。
多分はたから見たらバカで、あとの自分から見てもバカだから本当にただのバカなだけなんだけど、
少しバカなことを言いたい。
お前ら正しいこと言い過ぎなんだよ。わかってるよ。私が間違えててお前らの言う通りにできればきっとうまくやれることくらいわかるよ。でもね、私はそんなにうまくはできないよ。泣いたり、落ち込んだりする時間が無駄だとかもとっくに知ってるよ。でも私には必要なんだ。この無駄が。いつも効率がいいほうを選びたいわけじゃない。
私の気持ちなんて理解しなくていい。というか理解するな。触るな。
泣かないでって言ってくる割には人が泣いてるところは面白そうに見てきやがって。あげく救世主だの教師だの、そんな面構えで来られてもうざいだけだ。お前らのそんなところが嫌い。
(…面倒くさいやつ)
あの夢の続きを(小話)
青年
「先生、もう生きるのが辛いんです。最初はすべてが上手くいっていたんです。でも途中から、それだけじゃ満足出来なくなって、全部欲しくなって、そうしたら何もうまくいかなくなって、先が怖くなって絶望してます。いっそすべてが思い通りになればいいのに。」
医師「それなら、いいものがありますよ。」
…
青年 「これが好きな夢が見れる麻酔ですか?」
医師「そうです。今あなたが望んでいることを夢の中で叶えることができます。」
青年 「 目覚めるのはいつになりますか。」
医師「あなたがそれを夢だと気がついた時に目が覚めます。」
青年 「 それでは、気が付かなかったら永遠に目覚めないということでしょうか。」
医師「はい。ですが、あなたはこんな現実に嫌気が差したからここに来たわけですよね。夢の中では、今のあなたがしたいことが何でも叶います。ならいっそ、永遠に目覚めないほうが幸せなのではないでしょうか。」
青年「確かにその通りかもしれません。もうこんな世界は嫌なんだ。いっそ永遠に夢の中で幸せに暮らしたいです。その麻酔使わせてください。」
医師「よろしい。それでは…おやすみなさい。」
…
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…
青年「先生、もう生きるのが辛いんです。」