ラララ、歌声が夜に木霊している。
また、あの美しい声が私を呼んでいる。
あの声が私に救いを求めている。
助けを欲しがっているだけど…何故か…、
あの声は聞き馴染みがある。
何処かに忘れた記憶があるような、ないような、
思い出して良い記憶なのか、駄目な記憶なのか、
まだ、分からない、分かってはいけないのかも?
だけど、そちらへ行かなければ行けない気がして
身体が勝手に動いた、そこには、見覚えのある、
背格好をした、一人の女性が星空へ向かって、
歌っていた、それを私は影から見ていると、
それに気が付いたのか、歌声が止まり戸惑いを
隠し切れずに動揺していた、けど、顔を見た瞬間
目を見開いて此方に走ってきた、何でだ?
そして、私は抱き締められた、何故か。
分からず気が動転していると、女性が喋った。
"やっと…会えた…○○、平気?無事?
あの頃の記憶ある?ないなら、今は私にだけ、
付いて来るだけで良いから、来て欲しいな。"
訳も分からず付いていくと、そこは懐かしい、
気配や景色や、匂いが広がる街だった。
私にはやはり理解ができなかったが、
少しだけ思い出した、この場所は故郷だ、
ただそれだけは、分かる。
だけど、もっと思い出さなければいけないような
何だっけな、もう、記憶消えてて分からないや。
本当にそれは、消えた記憶?なの?
それの見分け方も知らないなら、まだ、
貴女は夢の中で彷徨うただの哀れな生け贄。
貴女なら、出来るはずだよ、この場から、
抜け出して現実へ戻ることが。
風が運ぶもの、それは、春の訪れだけじゃない。
様々な訪れを迎えに来る事でも有名だろう。
例えば、新しい生活の訪れ、恋の訪れ、
学生なら成長の訪れ、後輩の訪れ、
本当に風はいたずら好きだ、こんなにも新しい、
訪れを届けてくれるのだから、私にはこれが、
堪らなく待ち遠しくしている、と言っても、
私には何も普通の人と変わらない一般人だ。
でも、それだから、春が羨ましく感じる、
そう、いつも、思っていると突然変化した、
知らぬ間に、見えない生物が見えたのだ、
それも、人外だ、風のイタズラか分からないが、
今すぐにでも、逃げ出したい!
そう、思い逃げようとすると、腕を急に掴まれ、
驚いて反射的にそちらを見ると、明らかに、
淫魔であろう、女の子に捕まってしまった。
怖いのただ一言だ。でも、違った。
"落ち着いて、貴方を守りに来ただけよ?"
それを聞いて落ち着くと、彼女は、淫魔は、
仮の姿で、本当は龍いや、ドラゴンらしいが、
訳ありで、今はこの姿で落ち着かせてるらしい。
だからと言って、これで安心できる訳がない。
命が狙われ、ましてや、守られるなんて、
考えたくなかった、いや、知りたくもなかったよ
摩訶不思議の出来事の始まりフラグなんて、
折れれば良かったのにな…。
いつ何が起きても良いように、考えて行動してね
question、そう貴方は言った。
単なる言葉であったのだが、その後に分かる。
あの、不吉な事実に世界が震撼してしまう、
あれが、まさしく、地獄絵図、あれは、まさに、
救済執行、誰かが叫べば人は、爆発して、
また、人が消えていく、散り散りになっていく、
瞳だけが澄んでいた、清々しい程に嘘を付けず、
真っ直ぐとした瞳で答える、その仕草で、
世界すら変えてしまえる存在なんて、
あったら、と思うと怖く感じていたが、
実際に居てしまったのだ、いや、コイツは人間?
いいや、違うような、違うだろうな、疑問が、
尽きないのだが、コイツに質問された、俺は、
何も出来なくなって、ただ、震えていた。
その答え次第で、世界を崩壊してしまう程の力、
それをこの女は持っているから、答えるのが怖い
"今回はちゃんと答え聞けると思ったのにな。"
そうか、それを聞きたくて人間に化けたのか。
壊させてたまるかと思い答えた。
"結局、それに疑問など俺は、感じない。"
そう、淡々と答えるとその女はびっくりした顔を
していた、それもそうか、普通ならこの答え、
出るとは思わなかっただろうな。
だが、直ぐ後に笑った。
意外にも気に入ったらしく、異変はなくなり、
散った人間も復活していた、何もかも直した。
その能力でさえ、驚きなのだが、
呆然と考えてもいると、女の方から近寄ってきた
女ではなく、彼女は、俺の事をお気に入りに、
入ったらしく、アクセサリーをプレゼントされた
それを渡した後メモ書きを空から降らせて、
黒い竜巻に消えていった。
あの彼女の疑問など誰にと分かりやしなあ。
もう、誰も知ってはいけない質問なのだから。
本質なんて、無限の定理なんて、疑問だって、
答えを出したら永遠に終わらなくなるのだから、
知っている神でさえ、言いたくないのだから、
禁忌は禁忌のままであるって、皆思うだろう。
だが、俺は違う、禁忌こそ、全ての疑問の答え、
その解放を望む、世界でしかないのだから、
それに気付くのは、いつになるのでしょうか?
約束、それは、契約とも言えるかもしれない。
また、それを破ってしまったら、どうなるのか。
私には、分かりたくない程、知ってしまっている
だから、私には、それを契る事は永遠に出来ない
でも、したがる人達が絶えないのだ。
それは、困った事とも言えるのかもしれない。
それはそれで、良い事だと、言えるのかも……、
知れないのだか、問題が沢山山積みになるのだ。
まず、それをした時点での不都合な契約がある。
次に、契約に何かしらの生命が関わる事がある。
三つ目は、契約の仲介者が改変する事がある。
四つ目は、神に関する誓約を持ち越す事がある。
その他山程有りすぎて紹介しきれない。
正直、内容が言えない事が大半であり、
禁忌にでも触れやしないか?と怪しいものも、
最近増えてきているので、その対策として、
契約破棄をさせる為の役職、約切りを増援して、
巡回させているが、非常に人手不足過ぎて、
手が余っていない、だから、私も行っているが、
噂を広げた厄災者が出てくれれば、収まるのだが
都合が悪いのか、現れてくれない、
期待はしないけども、そもそも、現れない方が、
最も多いパターンなので、
そこに尽力掛ける訳にもいかないのだ。
誘い出す事は出来ても私が危険に晒されるので、
周りの部下やましてや、上司である神にも、
禁止や、禁忌と言われており、流石に…、
過保護ではないかと、思ったが、実際は、
そうでもないな、うん、実践した過去には、
とんでもない程、ヤバかった、実際不味かったし
体を乗っ取られそうになりかけていたり、
変なの孕まされかけたり、えーと、まだまだ、
あったけど、忘れたや、まっ、いいか。
契りをしていたとしても、縛られるだけ、
だから、言わせて欲しい事がある。
"後悔先に立たず、その言葉通りにならないで、
貴方にはそうなって欲しくないから、
そうなろうとしても、私が全力で止める。
いや、阻止してみせるから、
私に、頼って欲しいんだよ、貴方だけは。"
お願いだから、後先構わず行かないで、
周りを止まって見てよ、救えるものも、
救えやしなくなるのだから、
私は、それを数千年いや、それ以上に、
分かっているからこそ、真っ直ぐとした、
貴方の性格は認めるけど、貴方には、
この厄災を起こした人物のように、
なって欲しくないから、もう二度とそうは、
させやしないから、置いていかないでおくれ、
私を置いて彼方の世界へ消えないでおくれ。
貴方には約束や誓約は、ありますか?
必要最低限は、しょうがないと思います。
最低限は、ないと生きれない現代だから、
良いとは、思いますが、だからと言って、
要らないモノまで、していませんよね?
それをしてしまって、後悔先に立たず、
それをして、貴方の他にも不利益が掛かるかも?
起こっても、どうしようもなければ、
貴方にはどうにも出来なくなるでしょう。
それが、起きる前に、それをしなければ、
良いのですから、やらないで下さいな。
そうしなければ、貴方は、人生が一変して、
落ちてしまう、そうはなって欲しくないから、
貴方は、その選択を間違えないで欲しいな。
ひらり、また、散ってしまった。
守れやしなかった、弱かった私の責任。
だから、もっと強くなって貴方を守れるように、
なりますから、だから、
"ゆっくりと眠って下さいね。"
それを言って眠った人柱を救う旅は、
まだまだ、終わらない。