淡時間

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11/26/2024, 2:57:25 PM

『微熱』

海に飛び込んでみたくなったのだ

引き摺る気持ちごと、身も投げ棄て

そう、逃げたかったのだ

なんだ、こんなにも冷たかったのか


きっとお天道様が引っ張りあげてくださる

そう、信じていたのに

なんだ、浮かぶのは

藻掻くだけの生への執着でしか無い

泡ぶく程度が私を浮かせられるはずが無いだろう


ああ、浮かばぬ

何一つ、浮かべぬ

11/24/2024, 2:29:57 PM

『セーター』

あたたかい

ふわふわ、と


あたたかかった

ちくちく、と

11/22/2024, 6:57:17 AM

『どうすればいいの?』

どうせ、

きっと、

このシーンはNGだから、

どうせ、

きっと、

また撮り直すのでしょう、


これもあれもそれもどれも

私はBGMにもなれやしない



手を伸ばす

泣いて、縋るこれは演技

顔を背ける

照明、私だけ これは演出


これもあれもそれもどれも

11/20/2024, 12:46:33 PM

『宝物』

小屋の奥で蜘蛛の巣を張り巡らし

漏れた灯油でストーブを浮かせる

不貞腐れる水道管はクリスマスを待ちわびて

無理やり開けた窓で包帯を固結び

本棚だって泥まみれの靴を履くさ

夢見る姿見にステージメイクも割れて

玄関マットにとびきりのペンキを塗ったら

スポットライトだけで特別感をご招待


さあ合鍵をどうぞ

今更何をお探しになりますか?

11/19/2024, 12:26:53 PM

『キャンドル』

光なんてものには種類があって

私が追いつけない速度で照らすそれは

こうやって自らを削り、いとも容易く消える


人為的な熱が翳る

もうすこし

受け皿はとうに溢れた

あとすこし

開かない窓に水滴がつく


蝋が、溶けゆく

まもなく、燃え尽きる

向こうに揺れる影が笑った気がした



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