淡時間

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11/18/2024, 12:00:15 PM

『たくさんの想い出』

あの日貸したチェキカメラの中には

綺麗なままのフィルムが残っていて


食べきってしまったチョコの缶には

切り崩した硬貨が代わりに入っている


掠れ萎れた記憶だけ、端から徐々に滲みぼやけ

思い出せぬままに、目からこぼれ落ちる


支柱を失っても生い茂る想い出は枝分かれして

腐りかけの果実にはもう手が届かなくなっていた


まだ光を求め続ける酷く甘い匂いの花に

私はまだ目を離せずにいる

11/17/2024, 11:55:51 AM

『冬になったら』

リストバンドの重みで目が覚める

整理しきらないままの記憶が目を伝い、滴った

飲みかけのコーヒーと、溶けきれぬ氷砂糖


窓から見上げた空の抜けるような晴天は

またどこかで降る小雨を嘲笑っている


時計を見やり、薬を飲む

氷嚢を、退けた

11/16/2024, 4:27:49 PM

『はなればなれ』

考えた

切り離したらどうなるのだろうか

考える

ひとつ手放して、またひとつ

考えている

また繋がることはできるのだろうか

考えている

見えなくなるまで目を逸らし続けて

考えている

この痛みは、この気持ちは、忘れられるのだろうか



忘れても、良いのだろうか

11/14/2024, 7:14:46 AM

私は、元気です

私は、平気です

私は、大丈夫です


貴方の価値が、

貴方の大事が、

どうか踏み躙られる前に、


お互いが必要なくなった後で、

全てが手遅れになってしまう前に、

それでは。

『また会いましょう』

11/11/2024, 10:07:39 AM

『飛べない翼』

翼が無くても地を跳ね回る
腕が無くても咥え振り回す
脚が無くても胴で這いずる

そしていつか私は異形の烙印を押される

持ってうまれた者と私の違いはなんだろう

満ち足りた全てを憎む心か
はたまた空虚な全てを赦す心か

空を翔る者は私の自由を知らぬ
弓を射る者は私の傷痕を知らぬ
地を踏む者は私の歩みを知らぬ

ほんの一部分に過ぎない全てに
私はいつまでも縛られ続けている

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