淡時間

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『たくさんの想い出』

あの日貸したチェキカメラの中には

綺麗なままのフィルムが残っていて


食べきってしまったチョコの缶には

切り崩した硬貨が代わりに入っている


掠れ萎れた記憶だけ、端から徐々に滲みぼやけ

思い出せぬままに、目からこぼれ落ちる


支柱を失っても生い茂る想い出は枝分かれして

腐りかけの果実にはもう手が届かなくなっていた


まだ光を求め続ける酷く甘い匂いの花に

私はまだ目を離せずにいる

11/18/2024, 12:00:15 PM