【つまらないことでも】 ※医療関係,長文
「…あの方は、僕の神様だ。」
僕の先輩はいつもそんなこと言う。
昔、先輩には尊敬する方がいた。
ずっと怠けてるしみんなからの信頼はなかった。
でも、腕は確かだった。優秀だったらしい。
「…でも、僕がこの手で殺した。」
その方は、ある病にかかり先輩に命を委ねた。
結果は、失敗に終わった。
今まで動いていた心臓は、もう二度と動くことのない。
ピー…と言う心電図だけが手術室に響く。
先輩はその手で尊敬する方を殺した。
「ずっと後悔している。
いっそ死んだ方がマシなんじゃないかって。」
そんな先輩はその経験後、
一度も患者を死なせたことはなかった。
【明日、もし晴れたら】
恋人がいた。健康的で元気のある人だった。
でもそんな恋人は、ある病に悩んでいた。
「胸が苦しい」
「またか…やっぱ病院行った方が良いって」
そう言ってもなかなか首を縦に振ってくれない。
恋人の胸を摩っていると、一言置いてこちらに身を委ねた
「君といると胸が苦しくて、恋しくなる。」
そう言うことか。やっと意図がわかった。
「……あっはは、それは“恋”だね。」
【だから、一人でいたい。】
「だから、一人にしてくれよ…!!」
「やだ!私は貴方と一緒にいたい。」
そう言って離れない、僕に好意を寄せている女友達。
「だからさぁ!!
お前にあいつの役が務まると思ってんのかよ!」
「それは…」
「口だけなら…もうその恋は叶わねえよ。」
僕の元恋人は、こいつを庇って死んだ。
こいつは悪くない。知ってるのに近づきたくない。
でも、こいつがいたから僕の恋人は死んだ。
【遠い日の記憶】
微笑みを現実で初めて見た気がした。
優しさが滲み出ている、暖かい目で。
貴方を想像するだけで 胸が高鳴って
貴方を見ているだけで 胸が高鳴って。
どうしよう、好きだな。
また会えると信じて、覚えていると信じて
運命の再会を望んでいます。
【空を見上げて心に浮かんだこと】
「…あっつ、」
夏も本格的になり、猛暑日が続いていた。
「…眩しいし…早く雲、太陽を覆ってくれよ、、」
…去年の今頃の夏、俺の親友は死んだ。
運動好きで、みんなから人気者でいつも笑顔だった。
『太陽くん』と言われているような彼だった。
「……俺の心臓、お前にならあげれたなぁ。」
そう言ってから、ある言葉を思い出した。
『心臓なしで生きられたらな。』