路傍の礫

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4/5/2024, 5:11:03 PM

 昨日の続きを書きたかったけれど、書けなかった。文章には正解がないから、何が正しいのか分からなくなって、書いて消して、書いて消しての繰り返し。
 
 もはや、何でも正しいと信じられたらいいのだが。
  
 夜空を見上げても、ひたすらに曇ってやがった。
 
 文章を書くのって難しいね。でも、楽しい。
 
 楽しけりゃ、それでいいじゃんね。
 
 今日は瞼の裏に星空を描いて寝るとする。

 
 

4/4/2024, 5:25:21 PM

『弟の誕生日』

 4月4日。今日はルイの誕生日だ。
 プレゼントは用意できていない。
 だって思い出したのは、ついさっき寝ぼけ眼で見たカレンダーに、でかでかと"ルイの誕生日!!"と書いてあったからだ。
 カレンダーなんていつも見ないが、偶然にも、今いる洗面台の歯ブラシと並んで置いてあったのが、目に入ったのだ。
 偶然……まさか誕生日の呪いにより、カレンダーが意思を持って……!?
 なんて……、あり得ないだろうから、この狭い部屋に二人で住んでいる以上、おそらく、いや確実にルイの仕業だな。
 何か、強いメッセージ性を感じる……。
「弟の誕生日くらい覚えろっ!」って毎年言われてから気付く私に、待っているだけではダメと踏んだか。
 悔しいが、正しい判断だ。だけど、直接言ってこないのは、お金のことでも気にしてるのか……。
 気を使ってるのか、使ってないのか分からんな。
 さすがの私も、誕生日くらいはパーっと使ってやるのに……、なんて毎年誕生日を忘れるやつが言えたもんじゃないが。
 そういえば、ルイは今年で何歳になるんだっけ。
 私が今14で、ルイが5個下、私の方が誕生日遅いから……10歳か。
 うん。なぜか良いものを買ってやらないといけない気がする。おそらく、10という切りのいい数字のせいだな。
 うーん、いくらまでなら出せるかな……。
 数秒考え── 決めた。
 よし! 今日は大胆に行こう!
 考え込んでいて、全く進んでいなかった歯磨きを大急ぎで終わらせ、ルイが寝ていることを確認し、引き出しの奥底から封筒を取り出す。
 とても分厚い封筒。一万エンと書かれた札がおおよそ500枚。貯め始めてから、5年が経つ。
 目標まで、あと半分……。
 本当は使っちゃいけないんだけど、今日は特別。そこから5枚抜き出し、丁寧に財布へと入れる。そして封筒をまた引き出しの奥底へとねじ込んだ。
 後ろを振り返り、二段ベッドの上段を見ると、ルイがまだ気持ちよさそうに寝息を立てていた。
 私がじっと見ていると、寝返りを打って壁の方を向いてしまった。
 ちらと時計を確認する、7時12分だった。いつもなら、ルイは起きている時間だ。
 寝てるなら、このままサプライズプレゼントを買いに行ってもいいけど……。ルイの欲しいもの、分からないしな。去年買ってやったでっかい帽子も、全然使ってない気がするし……。似合うんだけどな、あれ。
 仕方ない、起こすか。
 二段ベッドの階段を慎重に上がり、ルイに跨がった。普通に起こすのも味気ない、なんかイタズラしちゃおうかなー? 
 おっと、かなり気持ちの悪い笑みを漏らしてしまった。これはただ寝てるから起こすだけ。何もやましいことはない。
 しかし考えてみれば、いつもルイの方が少しばかり早く起きるので、寝ているところを起こすなんてのは、滅多になかった。これは、好機。
 ほっぺつねるか。
「おきろーー。あさだぞーー」
 両手でルイの両頬をつまみ、引っ張った。
 起きてる時はやらせてくれないからな、ルイのほっぺは柔らかくて気持ちいいのだ。
「痛い! 痛い! 痛い!」
 強く引っ張りすぎたか。いかんいかん、楽しくなるとつい加減がわからなくなる悪い癖が。
 ん!? 反撃が来る! 避けきれない!!
 予想外の反撃に、そのまま背中からベッドに倒れ込んだ。
 くそっーー! もっと触りたかったのに、強くつねりすぎたか! しかもこいつ、寝てるのに私のみぞおち目掛けて、正確に反撃してきやがった。
 ほっぺを触るなら、それ相応の対価が必要ということか!
「出掛けるよ、準備して」
 一発KOされた私は、ベッドの上でもがき苦しみながらも、声だけは平静を装っていった。
「もっとマシな起こし方があるだろ! 加減を知らないんだよ! ハルは!」
 起きたばかりだというのに、口の回るやつだ。ルイは謝ると調子に乗るので、怒っている時は無視一択。まあ今回は私が全面的に悪いので、申し訳なさそうな雰囲気だけ出しておく。
 その後も何かと「Tシャツ脱ぎ捨てるな」とか「牛乳飲んだら冷蔵庫入れろ」とかぐちぐち言ってきたが、右から左に流して外出の支度を進めた。

 準備もあらかた済み、文句を言う口がおさまってきたところで、今日の外出の目的をいう。
「今日はルイの誕生日プレゼント、買いに行くから。何か欲しいものある?」
「え! 覚えててくれたの!? 嬉しい!」
 ルイは屈託のない笑顔で返して来る。ええい、白々しいやつめ。仕込まれたカレンダーを見て思い出したんだよ。
「とりあえずアルド商店街いくから、欲しいもの決めといてね」
「あそこ高いよ? いいの?」
 そう、アルド商店街は高級で有名、普段行くことはないが……。
「今日は特別な日だから」
 弟の誕生日くらい、いいよね。
「うん!」
 元気いっぱいの返事とともに、ルイの手を取って、玄関の扉を開いた。

── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ──

 思ったより、長く書いてしまったので続きは後で書きます。お題回収できてないので……。
 読んでくれた方ありがとうございます。
 あまり上手な文章ではないですが、気に入ってくれたら幸いです、気に入らなくてもいいです。
 また書きます。


 

4/3/2024, 2:33:03 PM

「一つだけ! 一つだけだからさ!」
 隣から聞こえてくる声を無視しながら、ソーダ味のグミが入った袋を逆さにして、残り全部をほおばった。
「もう全部食べちゃった」
 グミでいっぱいの口でいってやると、ルイは「ちぇっ」と小さく舌打ちをした。そんなに欲しいなら自分で買えってんだ。まあ、一つだけすらあげない私も私だけど。
 甘いな……。一気食いしたことに、早速後悔する。
「ハルはいっつもそうだよね、頑固でいじわる」
 頑固でいじわる……。
 自分でもわかっているつもりだったが、いざ他人にいわれてみるとムカつくな。
 ん?
 一つグミが残ってる、袋の底で引っかかってやがった。
「……」
 そうだな……。たまには、あげてみるか……。
 ちらとルイの顔を伺うと、口を尖らせて不満を全力で表現してやがった。たった一つのグミのためにそんなに不機嫌になれるもんかね。
 まあ仕方ない。あげてやる、一つだけ。
「あ」
 "あ"っていえば、釣られて"あ"っていうだろ。
「あ?」
 まんまと釣られ開いた口にグミを放り込んだ。
「一つだけ……な、……美味いか?」
 我ながら不器用極まりないな。
 ただ、ルイは驚きつつも、味わって食べているようだ。
「美味しいよ! ありがと、ハル!」
 満面の笑みでいうから、少し照れくさかった。
 でも……。
 グミ一つだけで、こんなに喜んでくれるのか……。
 
 次から"一つだけ"でも食わせてやるか。