嗅ぎ慣れない薬品の匂いを鼻腔が感じ取る感覚がする。病室をふらりふらりと覚束無い足取りで徘徊してみては、点滴が動くときのかしゃんかしゃんという金属的な音がした。底抜けに青々しい空を見詰めては、眩しさと羨ましさに顔を顰めた。
「───そもそも、何故私を生かしたのかが不明瞭過ぎて訳がわからないんだけど」
上記を呟いてみれば、にこり。パイプ椅子にそんなオノマトペが聞こえてきそうな笑顔を浮かべた男が座っていた。幸薄げに見えるが、どこか不気味さを感じさせる笑みであった。この笑みが、わたしはいつまでも苦手だ。その男はカラスのように黒い服に身を包み、白衣とのコントラストを感じさせる。
男の薄い唇がすぅ、と開く。
「そんなの知らなくていいだろう、夏咲ちゃん」
「……名前を呼ぶなって何回言ったらわかる?やめろと言ったばかりだろうが」
つい口が悪くなる。
男は、私の顔を見ては恍惚とした───もしくは性的に興奮しているような───表情を浮かべた。
「あぁはははは、御免ね」
「……もう善い、本題だ。何故私を生かした?」
いや、そもそも何故、こんな事に?
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かさきちゃん❗
つらいの。だからひとりでいたい。
神様が舞い降りてきて、こう言った。
「 おまえは無価値な人間だ 」
と。
でもそれは、───空想上の神様だった。
リアリティのある夢を見て、荒い呼吸を繰り返しながら、顔を顰めた。何故、こんなにも私は絶望的なのだろうか、と思ったのである。
くるしい。
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初めましての方は初めまして。kill Me 。
私は自由を求める鳥籠の鳥である。
狭い狭い鳥籠の中で
どうにか救われようと惨めに足掻く、
哀れな小鳥である。
過大評価は苦手だ。
いや、喜ばしくは有るけど。
「リオちゃんは凄いから出来るよね?」
と、圧をかけられているように
感じるのである。
私の勘違いであろうけど。
だからこそ私は、
「こんなの出来無ぇだろ(笑)」
と罵られる方が好きだ。
───興奮しているのも、あるけれど。