すてばのねずみ

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5/2/2024, 12:45:05 PM

ヤサシクシナイデクダサイ
ワタシノタメニ

いつもの儚げな表情で、笑うことを忘れてしまったかのようなその唇で、そう、言ったように見えた。

どんなに傷ついても、ボロボロに身も心も汚れてしまっても、瞳がガラス玉のように感情を映さぬようになり、まるで命の芯の部分だけでかろうじて立っているかのようになっても、
決して助けを求めないあなたを、私は…卑しくも私は…あなたのそんなところに惹かれてしまったのです。

5/1/2024, 3:32:21 AM

突然気づいた。ここが本当はどういう所か

何もかもが自分に対し厳しく、尖った切っ先がいつも周りを囲んでいるような
助けを期待できる優しい岸辺も、息をつける安全地帯もない
常に感じる圧迫感は大気が全て透明な粘土に変わってしまったかのようだ
窓のない廊下が永遠に続いてるかのようで目眩がする
携えることのできるのは使い道のわからない道具たちだけ

それでも呼ぼう、ここを楽園と。

君にだけはわかるはず。誰も知らぬ僕の心を読んでくれた君にだけは。

4/30/2024, 1:25:49 AM

その石の力を使うことで、感覚を風に乗せて飛ばすことが出来るようになる。視覚、嗅覚、聴覚、触覚に至るまで。
だが、この力は自然の一部になる力で、決して支配する力ではない。風に強制的に運ばれる感覚は、自由な開放感とは程遠い。そして、戻るのも簡単ではない。迂闊に使うと、恐ろしい結末を迎えることになる。
ちなみに、この人の感覚の乗った風に当たると、生暖かく感じるらしい。

4/27/2024, 8:34:16 PM

昔は知らない。今ははっきりしている。
レンズの中、ぼやけていた輪郭が徐々にくっきりしてきた。もう、掴めそうだ。

でもやっぱり、生の目でみるとそこにはいない。
無機質を通してしか認識できないもの。

もういい。心の目で見えていればいいさ。視るものじゃない。感じるものさ。