「誰かのためになるならば、僕は幸せになれなくてもいい」
貴方がそんなことを言うから
私は悲しくなってしまって、「あなたさえ幸せならば、他の人が不幸になろうとも構わない」そう言った。
すると彼は、驚いた顔をして、
「そんなこと言うもんじゃないよ」と言った。
私は怒らせてしまったと思い目をそらすと、上から小さく、ありがとう。という声が聞こえた。
パッとあなたの方を向くと少し照れくさそうにして、今度はあなたが顔を背けた。
「あなたって鳥みたいね。自由にどこまでも飛んでいける。いいな」そう言って君は泣きそうな顔をした。
そんな君を見ていると僕まで悲しくなってきて、ついらしくないことを言ってしまった。
「君がもしかごの中にいる鳥だとしたら、僕が必ず君を迎えに行くよ。」
「約束よ?」
そう言い彼女は微笑んだ。
貴方は優しくて、強い。眩しいくらいに。
ダメだなぁ私、憧れるだけで一向に追いつける気がしない。
貴方の隣に並ぶ資格なんてない。そう思ってしまう。
けれど私は、貴方の傍にいることを諦めきれない。
もう終わりにしよう。貴方に憧れることなんか、
私は、私。
今は遠く及ばないかもしれない。
でも決して諦めないから。
待ってて私が貴方に追いつくまで。
「ねぇ、織姫と彦星のようになりたいと思う?」
君は唐突にそう聞いてきた。
「うーん、どちらかと言えばなりたくないかな」
僕はそう答える。すると、なんで?と続けて君は聞いてきた。
「そうだなー、僕は、好きな人とはずっと一緒にいたいと思うからかな。」それが喧嘩した日でもね。
僕が冗談混じりにそう言うと。君は真剣な表情をして、「私はなりたいと思う」と言った。今度は僕がなぜなりたいの?と聞くと君は、「どれだけ年が経とうとも年に1回必ず会えるなら私はその方がいい」とそう答えた。
夢を見た。暗く冷たい床を裸足で歩く。周りには誰もいなくて、私だけが取り残されてしまったみたい。進んでも出口が見えることがなく、自分が自分でなくなっていく感じがしてとても恐ろしくなった。
どれだけ歩いたのか、段々と足の感覚がなくなってきた。もういっそ諦めてしまおうか、そう思った先に、3つの別れ道が現れた。
先に進むのが怖い、でも早くここから抜け出したい。
チカチカと目の前が光った。続いて彼の声が聞こえる。「おいで」と間違いなく彼の声だった。私は迷わず彼の声の聞こえるトンネルに進んだ。
目を開けると、心配そうな表情をした彼がいた。
「ただいま」と私が言うと。少し戸惑いながら優しく「おかえり」と返してくれた。私が選んだ道が正しいのかは分からない。でも、この道を選んで良かったと心から思った。