真岡 入雲

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9/26/2024, 7:25:46 AM

【お題:窓から見える景色 20240925】





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(´-ι_-`) ネタが⋯。後日up。

9/25/2024, 8:37:42 AM

【お題:形の無いもの 20240924】

たった一つの細胞が、繰り返し繰り返し分裂して身体を作る。
数え切れない程の細胞の塊、それが人間の器。
そこに宿る形の無いものを魂と言うらしい。
重さは21g。
形は無いのに、何故か重さはある不思議。

で、問題はコレ。
今俺の目の前でぷかぷか浮いている奴。
俗に言う幽霊とか言われるヤツ⋯⋯だと思う。
向こう側が透けて見えているからな。
それに人間の身体はこんな風に浮く事はできない⋯⋯はず。
言い切れないのは何故かと言うと、こういうモノを生まれて初めて見るから。
で、どうしてこんなにも冷静なのかと言うと、この浮いている奴が俺の知っている人間だからだ。
うーん、これは一体どういう事なのだろうか?

昨日は残業をして、帰りにコンビニに寄って肉まんとピザまんを購入。
ついでに酎ハイとプリンも買って帰ってきた。
記念すべき30歳の誕生日だったからな。
魔法使いになったんだ自分くらいは祝ってやらないと、この身体が可哀想だ。
あー、はいはい、そうですよ、彼女も友達もついでに両親も兄弟も居ない、正真正銘のぼっちだよ。
あ、いや、友達⋯と言うか、親友がひとりいる。
それがこいつ、目の前で浮いて呑気に寝てる奴で、名前を桜庭 渉と言う。
最近はあまり連絡を取っていなかったけど、小学生の頃からよくつるんでいた。
高校を卒業してからは年に1回会えればいい方だったけれど、メールやLINEとかで連絡は取れていたし、時折荷物なんかも送られてきた。
よく分からない民族の仮面とか、置物とか、帽子とかばっかりだったけれど。
仕事の内容はよく知らないが、1年の大半国内外を飛び回っている桜庭は本当に忙しい奴で、俺とは違った理由で恋人はなく結婚もしていない。
でも多分、魔法使いではない。
あいつ、顔と頭は信じられないほどイイからな。

「そう言えば⋯⋯」

スマホを開いてメールを確認するが、新着メールはない。
同じくLINEも確認するが、こちらも新規のメッセージは無かった。
毎年誕生日には必ずメッセージが送られてきていたんだが、今年はそれが無かった。

「ふむ⋯⋯」

これをどう捉えるか⋯だな。
単純に忘れていた、電波の届かない秘境にいる、スマホが壊れて送れない、後は⋯⋯。

「⋯⋯⋯⋯よぉ」

色々考えていたら、奴と目が合った。
いつもと変わらずに、掌を俺に向けてヒラヒラと振っている。
だから俺もいつものように声を掛けたんだが、うん、桜庭は何か話しているようだが俺には聞こえない。
まぁ、肉体が無いんだから声が聞こえるはずも無いんだがな。
何だか一生懸命に話しているが、さっぱりわからん。

「悪い、全然聴こえない。何言ってんのかわからん」

俺がそう言うと、桜庭は大袈裟なほどガックリと肩を落とした。
でも、あれだ、俺は桜庭の言っていることは分からないが、桜庭は俺の言っていることがわかるんだな。
うん?何だ?ジェスチャーか?なになに⋯⋯。

「⋯⋯元気かって?あー、まぁ見ての通り、草臥れてはいるけど元気だ。仕事?今日は休み、誕生日休暇ってやつだ。うん?お、め、で、と、う?ありがとう。あぁ、俺も30になったからな、またお前と同い年だ。うん?小指?小指がどうかしたのか?え、違う?⋯⋯あぁ、恋人できたかって?今の俺を見て恋人がいるように見えるか?それもそうかって、相変わらず失礼な奴だな。で、桜庭、お前なんでそんな事になってんだ?」

俺がそう言うと桜庭は眉尻を下げて少し困ったような顔をした。

「はぁ、まぁ何でもいいか。で、これはあれか、俺が魔法使いになったからお前が見えるのか?ん?さぁって、お前も分からないのか。え?魔法使いってなんだって?あれだよ、30まで童貞だと魔法使いになれるっていう、え?知らない?⋯⋯まぁ、桜庭は童貞じゃないから関係ないもんな、⋯⋯はっ?えっ?童貞?桜庭も童貞なのか?あー、いや、信じない、信じないぞ俺は。お前が童貞だなんて。ちょ、バカお前、何ズボン脱いで、見たってわかるわけないだろ!⋯⋯はぁ、もう、わかった。信じる、信じるよ」

しかし、桜庭が童貞とか有り得るのか?
あー、でも、日本人男性の3人に1人は魔法使いになれるっていう話も聞いたことあるんだよな。そう考えれば有り得なくもな⋯⋯いやいやいや⋯⋯。

「ん?なんだって?スマホ?電話しろ?誰に?えっ?あー、ちょっと待て⋯⋯」

桜庭が指し示した数字をメモする。
市外局番から行くとこれは⋯⋯。

「これ、お前の実家の番号か?」

グッとサムズアップしてウインクまでしている。

「ここにかければいいのか?」

桜庭はひとつ頷くと、じゃあな、とゆっくり口を動かして、ふっと消えた。
残された俺は、桜庭がいたその場所をじっと見つめていた。

「⋯⋯⋯⋯」

とりあえず、桜庭のLINEにメッセージを送ってみるが、既読にはならなかった。
そして、俺は桜庭の実家に電話を掛けた。
何となく、さっきまで桜庭がここにいた事は言わない方がいいと思った。
だから、サラッと桜庭と連絡が取りたいとだけ伝えたんだ。

なぁ、桜庭。
お前、回りくどいぞ。
もっと分かりやすく伝えろよ。
何だよ、入院してるって。
しかも3ヶ月前からって。
お前の30歳の誕生日の夜って、俺と通話してただろ。
あの後かよ、交通事故に巻き込まれたって。
そこからずっと意識不明って、そんなの知らねえよ。
待ってろよ、今から会いに行ってやるからな。
俺は魔法使いになったんだ、絶対お前の目、覚ましてやるからな。
いいか、俺を独りにしたら許さないからな。


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(´-ι_-`) BLではなく、友情デスヨ。


9/23/2024, 2:34:30 PM

【お題:ジャングルジム 20240923】

1歩1歩、一段一段
慎重に登って見える景色は
いつも輝いていた

それほど高いわけじゃないのに
学校の教室の方が絶対に高いはずなのに
てっぺんから見る空が大好きだった

何でかな
周りに障害となる物が
何も無いから、かな?
それとも
新鮮な風を感じるから、かな?

でも今はもう
あの景色も風も
空も雲も
見ることができない

なくなっちゃったよ
ジャングルジム
ブランコ
滑り台
鉄棒
雲梯
砂場
全部、なくなった
なくなったんだ
あの公園

子どもがね
居ないんだって
遊ぶ人が
居ないんだって

子供が遊ばないなら
大人が遊べば良いのにね
でも、大人は遊ばないよね

そんなに頑張って
大人のフリして疲れない?
たまにはさ、童心に帰って遊ぼうよ
みんなで馬鹿やって
大声で笑って
クタクタになるまで走って
泥だらけになるまではしゃいで

大人だって遊んだっていいじゃん
ブランコに乗って
思いっきり風を感じたっていいじゃん
靴飛ばしして
けんけんしながら靴取りに行って
転んで膝擦りむいたっていいじゃん
ジャングルジム登って
てっぺんに座ってぼーっと空眺めて
雲が形を変えるのを
何も考えずに見ていたっていいじゃん

どこかの誰かが勝手に作った
大人の枠に嵌められて
大人って本当に窮屈で仕方がない

大人を捨てて思いっきり遊べる
そんな場所、どこかにないかなぁ



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(´-ι_-`) 近所の公園、5年くらい更地のままなんです⋯⋯。

9/23/2024, 8:03:22 AM

【お題:声が聞こえる 20240922】




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(´-ι_-`) マトマラナイ⋯。

9/22/2024, 5:54:20 AM

【お題:秋恋 20240921】

「女心と秋の空ってやつなのかぁ」

『いや、ただ単に先輩がうざくなっただけなんじゃないかな?』

なんて事は、口が裂けても言えない。
そんな悲しいサラリーマンな俺は、三連休の初日の夜、会社の先輩に呼び出された居酒屋でだし巻き玉子をつついている。
うん、この大根おろしがあるのと無いのでは味が全然違うよな。

「おい、宝条、聞いてるのか?」
「聞いてますよ、横溝先輩。俺は彼女さんと会ったことがないので分かりませんが、先輩にはもっとお似合いの人がいますよ」
「そうか、本当にそう思うか?」
「はい。だって先輩はできる男じゃないですか。先輩くらい仕事が出来る男の人を放っておく女性なんていませんって!」
「いやぁ、まぁ、そうだよな」
「はい、ですから今日はもっと飲みましょう!」

そして早く潰れてほしい。

「あ、すみません。この日本酒とこの焼酎、それと軟骨の唐揚げにホッケをお願いします。あ、ホッケに大根おろしは付いてます?無ければつけてもらうことは⋯あ、はい、お願いします。あとおでん皿も」

えーと、確か付き合い始めたのはゴールデンウィーク前で、今が9月だから5ヶ月位か。
今回も半年持たなかったか。
まぁ、そうだよな、正直俺でも嫌だもんな。
朝起きたらおはよう連絡、昼は何食べたとか、夜は夜で寝る直前まで通話だっけ?
んで週末はお泊まりで休みはデート三昧、時には旅行。
まぁ、デートも旅行も費用は先輩持ちだけどさ、それこそ付き合い始めはいいんだろうけど、そのうちうざくなってくるよな、自分の時間が取れないってのもあるし。
3ヶ月もすればお腹いっぱいになって、この先ずっとこのままなのかって考えたら、そりゃ逃げたくもなるって。
悪い人じゃないんだけど、寧ろ良い人なんだけど、何でか恋愛関係だけは重すぎるんだよな、先輩って。
あー、もしかしたら相手は日本人じゃない方がいいのかもしれないなぁ。

「宝条ぉ、俺の何がダメなんだァ」

う、何て言ったらいいんだ⋯⋯。
あ、そうだ!

「先輩、秋に始まる恋ってのは長続きするらしいですよ。秋恋ってやつです」
「ん?何で秋恋は長続きするんだ?」
「秋って肌寒くなって人肌が恋しくなるじゃないですか。それに、クリスマスにお正月、バレンタインデーにホワイトデーとイベントが盛りだくさんですし。秋は食欲、読書、芸術、スポーツと色々とできます。それに紅葉を見に温泉旅行なんてのも最高です!」
「⋯⋯温泉か、良いな温泉⋯⋯⋯」

そう呟いてスマホを弄り始めた先輩を他所に、俺は運ばれてきたおでんの大根を頬張る。
この味の染みた大根が、最高に美味い。

「なぁ、宝条。お前、おすすめの宿とかある?」
「おすすめ?⋯⋯先輩、俺、彼女いない歴=年齢ですけど?」
「いや、ほら。友達ととか家族旅行でとかあるだろ」
「三連休の初日に先輩から誘われてすぐ居酒屋に来れるくらい友達いない暇人ですし、うち、俺が5歳の時に両親離婚して貧乏だったので、家族旅行とか行ったことないんです。先輩の方が色々な所知ってるんじゃないんですか?」
「俺、兄弟6人の大家族でさ、家族旅行は大抵キャンプだったんだよ。まぁ、キャンプは楽しいから良かったんだけど、ホテルとか旅館とか、家族旅行で使ったことなくて」
「え、でも今までの彼女さんと行った所とか」
「また別れそうで嫌じゃん」
「あ、あー、デスネ」

どこかって言われてもなぁ⋯⋯うーん。
あ、ホッケ美味い。
一人暮らしだと魚とかあんまり焼かないからな、こういう時に食べるに限る。
あー、そうだ、あれならいいんじゃないか?

「先輩、グランピングとかどうです?紅葉見て、温泉入って、星空を見る。最高じゃないですか」
「グランピングか、いいな、ソレ」

ツイツイとまたスマホを弄り出した先輩は、どことなく楽しそうだ。
さっきまでの嘆きは何処へやら、だ。
ただ、何となくだけど先輩の愛の重い理由がわかってきた気がする。

「先輩って長男ですか?」
「あぁ、そうだぞ」
「ご兄弟と年は離れてたりします?」
「うん?なんでわかるんだ?えーとな、すぐ下がお前と同い年の5歳離れた妹、その一つ下に双子の弟、それから双子の3つ下に弟で、一番下が今度12離れた妹だ」
「なるほど。賑やかそうですね」
「まぁな。静かなのは寝ている時くらいで、それ以外はずーっと煩かったな。っと、良いグランピング施設見つけたぞ。来月に予約入れた」
「え、早っ、って、先輩一緒に行く相手は?」
「大丈夫、来週にはいるはずだ」
「⋯⋯ソウデスネ」

くっ、リア充め⋯⋯。
いや、充実しているようでしていないのか、この人。

「あー、横溝先輩」
「うん?」

頼んだ日本酒を飲みながら、先輩はホッケをつついでいる。
俺と同じく幸せそうな顔をしているところを見ると、先輩も焼き魚はしない方の人間なのだろう。

「犬、飼ってみたらいいんじゃないですか?」
「犬?」
「先輩のところのマンション、ペットOKでしたよね?」
「まぁ、そうだけど」
「夫婦仲をとり持つのが子供だって言うなら、恋人同士の仲をとり持つのはペットじゃないかと思いまして」
「⋯⋯なるほど」

先輩の愛の重さは寂しさから来てるんだと思ったんだ。
だから愛を向ける先を分散すればいいんじゃないかっていう、発想だったんだが、まさかあんなことになるとは、想像もしなかった。
とりあえずその日は、俺もだいぶ飲んで先輩の家に泊まることになった。
でっかいキングサイズのベッドに男二人で寝るとか、どんな罰ゲームだ!とか思ったけど、寝心地があまりにも良すぎてあっという間に夢の世界に引きずり込まれてしまった。
翌朝がっちり先輩にホールドされた状態で目覚めた時は、地獄かと思ったけれど。

尚、先輩は俺の助言通り犬を飼い始めた。
1匹から始まり2年経った頃には3匹に増えていて、ついには犬の為にと広い庭付きの一戸建てを購入してしまった。
因みにその間、彼女はできておらず、同じく彼女のいない俺が時折呼び出され犬たちと一緒に旅行に行く羽目になっていた。
うん、先輩の愛が重いのは寂しいからじゃなかった、元から愛が重いだけだった。
俺は最近、近所の神社でのお祈りが朝の日課になっている。

「早く彼女ができますように⋯⋯」

俺でも先輩でもどちらでもいいから。
じゃないと社内の女子の間に流れている、俺と先輩のただならぬ関係の噂が広がる一方だ。

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(´-ι_-`) 秋恋なんて初めて知ったよ⋯⋯。

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