貴方に銃口を向ける。
大事な人で傷つけたくないのに。
もう許せなかった。
貴方だったから、許せなかった。
私には、別の友人がいた。
貴方と出会う前、私の傍にいてくれた人。
だけど、今は連絡が取れない状態。
どこにいるのかも分からない。
何も言わずにいなくなってしまった。
大事な人を失った私を支えてくれたのは、貴方だった。
けれど、知っていた。
貴方は、私に傍にいる為にあの人を排除したことを。
あなたに、銃を向ける。
なんで私の大切なものを奪ったのか。
なんでずっと一緒にいてくれたのか。
なんで私を苦しめるのか。
抱えていた疑問を全てぶつけて、貴方を傷つけた。
だけど、これまで貴方が私を支えて、傍にいたこと。
それら全て、嘘じゃないこと。
もう分かっていた。
だから、私は貴方をもう許していた。
だけど私は、1つだけ許せないことがあった。
あの人を、貴方を苦しめた私の事。
「だからもう終わりにしよう」
貴方がなにか言う前に、私は私を貫いた。
キラキラ光る、ハートの偽宝石
どこかのゲームセンターで使われていたコイン
文字が書けないほど短くなった鉛筆
授業中にふざけて書いたメモ紙
幼い私は、大切な缶ケースにそれらを詰め込んだ。
あの時は、これが大切なかけがえのないものだった。
時が経って、
おもちゃや大切なお友達は、姿を消した。
大切なものはだんだん増えていって、
欲しいものもだいたい買えるようになった。
あの時詰め込んだ、大切なものは、
私にとって、なんの価値も意味も無いゴミとなった。
それでも、
例え大人になった日が来たとしても、
あの時にしかなかった気持ちを忘れたくない。
その過去は、私の一部だから。
大切なものだったものは、確かに今でも大切なものだ。
僕のとっておきの嘘を言おう
だって、今日はエイプリルフールだって言うのに、
誰も嘘をつかなかった。
友人は忙しくて、連絡は無い。
家族も、同僚だって、そういった類の話題はなかった。
誰かが言ってた。
エイプリルフールはもう「寒い」って。
そんなことない!
嘘をつくドキドキも、嘘をつかれるかもしれないドキドキを、一番楽しめる日なのだから。
みんな、大人になってしまって、遊び心を忘れているんだ。
かく言う僕だってそうだ。
だから、ちょっと遅くなったけど
僕のとっておきの嘘を言おう
朝起きて、寝坊した日
あの人は幸せになっただろうか
仕事に追われて、お昼を食べ損なった
あの人は幸せになっただろうか
雨が降っている、傘を忘れた
あの人は幸せになっただろうか
家に帰っても、おかえりが聞こえない
あの人は幸せになっただろうか
あなたがいなくなった生活で
わたしは幸せになれるだろうか
愛しい人を忘れられない
あの人は不幸にならないだろうか
わたしのいない日々を過ごす
あの人は幸せになっただろうか